ビバ2★早くも不倫生活始めました
「ちょっと待ってね! それ取り消した方がいいよ! 俺、はっきり言って社会の底辺的な存在だよ? 政治家のポッポとかより地位低いんだよ?」
「そんなものは関係ないわ。ここでは強さこそが全てなの」
どうやらマジのようだ。それに、姉の画像でオ○ニーするよりもこの子とラブラブした方がよっぽどいい。お天道さん、もう帰り道要らないよ!
「契約、交わしてくれるの?」
「会社じゃねえんだから」
「ニートがそんなこと知ってるのかしら?」
「言葉だけですすいません」
ほんわかした心を一瞬で抉られた。
「解ったよ。恋人ならなってやるよ」
「何でそうなるのかしら」
「それは言ってから痛感しました!」
しかし鑑真の告白は思いも寄らないポイントへと運ばれた。
「………………まあいいわよ。その代わり私に恥をかかせないで」
えっ?
マジですか?
キタコレ!ヤバい順風満帆だ!オギャーよりもハイスクールライフよりもよっぽどいいぞ!
とそんな妄想をしていると、紗良がボソッと呟いた。
「別にあんたの顔がかっこいいとか、いろいろ素敵とか、思ってないんだからねっ」
「お前、冷徹な様に見えてツンデレなの? 可愛いなあ。今すぐ抱きしめたい」
数秒後、それを聞いていた紗良に凍りづけにされた。
そして刹那。
鑑真の両手が炎に包まれる。そして…
氷を、溶かしたのではなく、消した。
「おお、これはすごい!発動方法がわかったぞ!名づけて、解凍なんかどうだろう」
「厨二臭い名前ね。でもそれに見合う程度の格好良さはあったわ」
「ウイッス」
鑑真が誉められた、というのはちょっとやそっとのことではない。なんと10年ぶりなのだ。しかも格好いいなんてこんな美女に言われて…ああ…
「…別に、あなたが格好いいなんて、言ってないわ」
「だろうね」
わかってましたよ。
「しかしここはひでえな。場所変えないか?流石にこんな死体ゴロゴロじゃ喋りづらい」
確かに鑑真の言うとおり、ここは殺風景だ。死体がゴロゴロ転がっていて、まさにおそろしい。しかし、
「喋らないといけないのかしら。もし違うのなら今ここで殺めてあげるわ」
「止めてくださいお命だけは!」
どうやら紗良は鑑真を犬にしたいようだ。
「でも、間違った意見ではないわね。わかったわ。近くの宿場を紹介してあげる」
本当にたまにこの方は女神様になる。
そして、ずんずんと道を歩いていく。
「この木の量、整備とかしてないの?マジで歩きにくい」
「無理よ。この世界に政府は存在してないようなものだもの」
おーい鳩さん!こっちで働けるぞ!
「これってさぁ、俺のさっきので消せないかな?」
「やってみる価値はあるわね。ただ、焼け野原になっても知らないわよ」
それが狙いです。
「んじゃ、やってみますわ」
鑑真は、精神を集中させた。そして、火のイメージを手の先に送り込む。
すると…
ごうっ!
巨大な炎が姿を現した。そしてその炎は、周りを焼いていった。
その後。
「予想はしてました。こうなるんでした。ほんとすいません」
「まったく、仕方ないわね。今回は私の能力でなんとかなったけれど、あなた一人では死んでたわよ」
実はというと、鑑真はあれから山火事に発展させてしまい、なんとか紗良に助けてもらっていたのだ。なんと子供らしいんでしょう。
「でも、もう見えたわね。あれがこっちの世界の宿場町よ。ここのポイントは、日光東照宮に近い、今市よ」
到着。
今市の中から一番やすい宿場に入った。なんせお金がないもんでね。ニートだから。
中にはいると、一人の少女がやってきた。
「いらっしゃいませ!あ、そこの殿方、少しお話があるのですが」
「山火事の件か?」
「いえ」
紗良は放っておいて、少女について行くことにした。
「呼び出してすみません。私は山本龍羅です。変な名前ですか? それでも女の子なんですよ」
「おお、俺は山田鑑真だ。てか、俺の方が変な名前だし」
龍羅はそれから喋り始めた。
「突然ですみません、あのですね…」
「ん?」
「私の主人になってください」
「オッケー」
かくして婚約は一瞬で決まった。しかし、思わぬ人からの返事は鑑真を震撼させた。
「いきなり不倫なんて、ご主人様は不倫が好きなのね」
「えっ?」
やってしまった。さっきのやりとりを紗良に見られていたのだ。
もちろん爆死。何かと悲しい人生が始まる予感のした鑑真だった。