ビバ19★行基はニート失格でした
もきゅ。
俺、なんかさわってる。あ、超やわらかい。ヤバイ。もう少しさわる。なんかゴムまりみたいな形。成る程、これは。
紗良のおっぱいだな。
誰かが起きてきた。
「ふーきゅーぅぅ! なんか体が…」
喘ぐので俺は止めた。すると、
「鑑真、年頃の女の子にいたずらなんてこの私が許しませんわ!」
瑠璃だったか。被害が減ったぜ。
しかし瑠璃の大声により女性陣と行基も目覚めた。
「瑠璃、うるさいわよ」
「瑞希ちゃんはちょっと寝起きが悪いんだぁ! ご覚悟、瑠璃」
ビシャァァァッ!
瑠璃は一瞬にして黒焦げになった。へへっ、残念、運が悪かったな。
「お兄ちゃん勘違いしてたよ…。本当はお兄ちゃんは破廉恥じゃないんだね!」
「鑑真…成長したわね…!」
一斉にじゃれつかれた。こっちの方が拷問だぁーい。
鑑真は目を見開いた。
なんとそこは森。まあ、そりゃそうだ。だって森だから。
「道はあったはずだよな」
「そうね」
なんかあったみたいだ。辺りは森で、見る限り森。
「ま、こんなの森精あたりがやったんだろうけどな」
ぼそっと龍羅が呟く。
「わっと、いず、どりやーど」
思わず英語で聞いてしまった。
「森の妖精さんだよ。一番上がたしかドマゾラウネというんだけど」
瑞希が答える。ドマゾって、誰が教えた。
「ドマゾ…ではなく森創精は全属性の効果を逆転させるのよ」
衝撃の事実。つまり炎を浴びて体力回復か。すげえな。
「でもよく考えろ。ということは、だ。回復させたら?」
「致命傷だ」
「はいピンポン! じゃー森創精をさっさと探してこい」
「「「はーい」」」
三十分後。
「や、やっとみつけたよぉ」
ぼろぼろの瑞希が帰ってきた。どうやらその妖精にやられたそうだ。瑞希には行基が手当てするということで代わりに龍羅が狩にいった。
残った二人は少しだけ言葉を交わした。
「そういえば瑞希ちゃんはどうしてこの世界に?」
「小学校で、死神になったから」
「死神ってなんですか」
ずかずかと聞く行基。
「私は小さいときから一人だったの。ずうっとね。親はいたけど、仕事が忙しくてあんまり相手してくれなかった。それで、主婦の子供たちは私のことを『愛情欠如さん』って言ってからかった。言葉が難しいのは上のお兄さんに聞いてたみたい」
「最低ですね、それから?」
「それで、とうとう親たちにも言われはじめて、それで私許せなくて、腹立って。その日は学校を仮病で早退した。そして、
…そいつらの仲良しママ友グループ全員殺してやったの」
一瞬の静寂。
「ブラボー、何て素敵なんでしょう!」
「嘘言わないで」
「嘘ではありませんよ。鑑真さんがお姉さまの話をいつもしていました。『あんたを養うのと社会不適合者になりたくないから結婚もしないし働くのやめないよ』って姉貴が言ってたーって。このお姉さま、沙希さんと言いましたか、とても素晴らしいお方だ」
「そ、そうだよね」
「だからあなたは悪ではありません。大正義だ」
「うん! 自信持つよ!」
一瞬の静寂。
そこにはイケメンがいた。
「嘘つくんじゃねえよ行基。俺の姉さんは『社畜めぇ、絶対結婚したらニートになってやる!』とか叫んでたぜ。お前が嫌いだからって可愛い妹分に吹き込むなや」
「す、すみません」
「んったく、ちょっと暴走しすぎだ。日本の社会が男のニートを認めなくても姉さんは養ってくれたんだぜ?」
「そ、そうだよねぇ。お兄ちゃんのお姉さん素敵な人だね」
ほんとそこでそれいう? 話聞いてた?
「ただいま」
龍羅が戻ってきた。何か持っている。どうやらこれをぶっ壊すともとに戻るらしい。
「せーの、とりゃ」
ぶっ壊れた。え、このくだりこれだけでいいの!?
…都庁到着。
「殴りあいでもした?」
公務員さんが聞く。
「「「「「…はい」」」」」
これでいいよな。




