ビバ15★愛も恋も甘いようでした
「え、報奨金なし…?」
「殺すのが任務で侍らかすのは任務ではないって」
「侍らかすなんて最低ね」
あらぬ誤解をされている。
「まあいいわ。本当にショックを受けていたのは」
そこで全員は泣きじゃくる男を見た。
「女の子になりたかったよおおお!」
「「「「この子だけのようだし」」」」
ならいいんです。
「あ、おはようワイヴァーン」
「その名前結構呼びにくいと思うのん」
「それもそうだな」
「実は昨日姓名判断に行ってたのん」
い、いつの間に!
「だから明日から榎本華錬って呼んで欲しいのん」
「じゃあ、華錬」
「いきなり名前は恥ずかしいのん」
じゃあそんな名前付けるなよ!
「でも鑑真が言うならそれでいいのん」
「ああ止めてくれ、そういう言い方をすると災厄が降りる!」
「何が災厄なんですの」
「それはもちろん紗良とか瑠璃に見つかり誤解され…」
「私は災厄なんですのね」
見つかった。そしてすねられた。
「いや、ごめん…じゃなくて本当の話でしょうが…」
ゴゴゴゴゴゴ。
「鑑真、瑠璃から殺気を感じるのん」
「言い訳は聞きませんわ!」
瞬間顔を真っ赤にした瑠璃の水流で鑑真が真っ青になった。
「あら、ワイヴァーン、おはよう。昨日の疲れは取れたかしら」
「バッチリだよぉ。あと今日からは榎本華錬なのん」
「じゃあ華錬、朝食が出来たわ」
「いきなり名前は恥ずかしいのん…」
「それは異性に言うセリフよ!」
一応、紗良も常識をわかっていたようだ。しかし、
「鑑真に言ったら鑑真が瑠璃にやられてたのん」
といったとたん紗良の目が光った。
「どういうことか聞かせて貰おうかしら」
紗良は鑑真を見つけ出し鷲掴みにした。そしてそのまま歩き出した。
「ちょ、どこへ行くんだ」
「もちろん地獄よ」
その名の通り地獄だった。
そんな地獄は夜まで続いた。
ちなみに終わりは鑑真が逃げ出したことである。なさけない。
「終わったぁ」
「しゃべる方が馬鹿馬鹿しくなってきたのよ」
「そーいやなんにも聞いてなかった」
本当になんにも聞いていなかった。
「そんじゃ、風呂はお前先入れよ。俺は後で行くから」
「なんであんなに聞いてないのかしら。私が誠意もって説明してあげてるのに」
話が長すぎるからである。
「まあ良いわ。って、少し眠くなってきたわね。早く上がらないと…くぅぅ…」
睡魔に負けた。しかも風呂の中で。
すると、ドアが開き鑑真が入ってきた。
「っておい、んなとこで寝るな!」
「んむにゅ、鑑真なの…おはよう」
「おはよう。さっさと出ろ」
すると紗良が、
「あとで遊びましょう」
と言って出て行った。
鑑真は紗良の部屋にきていた。
「んで、何するんだ」
「そんなの、過激な愛に決まって…」
「嘘だろ」
紗良の顔が凍った。
「え?」
「俺になんか申し上げたくて呼んだんだろ」
「え、ちが…」
「じゃあ俺から聞く。どうして俺を愛してるなんて言うんだ。嘘なんだろ」
鑑真の目は全てを知ったような目だった。
「う、嘘じゃないわ」
「俺のこと、『強いから』好きなんだろ。そう言ってたな。でもそれは本当の愛じゃない」
「…強いから好きじゃ何が駄目なの」
紗良は青白くまた充血した目で鑑真を睨んだ。
「この世界に、弱いモノなんて要らないの。私みたいに強い人だけが居ればいい。強い親なら、強い子が産まれる。だから強い人と結婚してかないとダメなの」
最後の方が涙声になっていた。しかし鑑真は動じず、こう答えた。
「んなこと言えば、俺らは現実社会の中で最弱だったじゃねえか。俺はニートだし、お前はいじめられて引きこもりだろ?」
「どうしてそんなことわかったの」
「こんだけいりゃあ分かるさ。だから強いとか弱いとかで存在価値とか愛情とか、そんなこと決めんな。ほら、ぐじぐじ泣いてる女は男にモテないぞ」
と言って鑑真はティッシュを渡した。紗良は受け取り涙を拭き、
「鑑真のそういうちょっと優しいところが好きなのに」
と小声で言った。鑑真はそれに応じたかのようにニコッと笑った。
…のもつかの間だった。こんな所に瑞希が現れた。
「紗良泣いてる…ティッシュ…お兄ちゃん、なんてことしてるの…」
「お前なんでそんなこと知ってんだ! 後やってねえよ!」
あらぬ誤解を招いた夜だった。




