チュートリアル〜二週目〜
さて!やって来ました異世界!!ただっぴろい大草原ですよ!地平線とか初めて見たよ。
あっ、自己紹介まだだったな。俺の名前は東郷涼斗。
神のクソゲーをクリアして二週目始めようとしたら異世界に来ました!
剣と魔法のファンタジーだ!!いぇ〜
・・・さて、状況確認。
この世界がクソゲーと同じなら人がスペ〇ンカー並に死にまくる世界だし。
・・・認めたくないがあの自称神様の言葉どうりマジに異世界なんだろな。
しかしチュートリアルまではゲームと同じ展開なんだよな?確かこのあと・・・
「・・・グルルルル!!」
そう!狼の群れに襲われんだよな。こんな感じで。
俺の周りに狼が集まる。うん、知ってた。何か気配探知と知覚領域が洒落にならない位に広がっていて、
俺がコッチにきたと同時に俺の方に向かってきたのが認識できた。これがゲームキャラのステータスを引き継いだ恩恵か。
俺を包囲するように十重二十重に取り囲んだ狼達。
種族名グレイウルフ。
体長2.5〜4.0メートル。
十匹から二十匹位の群れを作り群れ全体で連係して狩りを行う。
脅威度はかなり高く一匹につき熟練した狩人二、三人でようやく狩ることができる。
十匹から二十匹の群れで小さな村なら一晩で全滅させることができる。
特筆すべき点はグレイウルフリーダーなる個体が率いる群れは通常の数倍の規模の群れを作る。
グレイウルフリーダーの群れは軍隊が出撃しないと駆逐するのは難しい。
と、言うよりまず無理。
ちなみにグレイウルフの毛皮は高値で取引される。
そして俺の目の前の群れはグレイウルフリーダーが率いる群れだ。
数は・・・リーダーを入れて五十七匹。
ゲームの一周目チュートリアルではグレイウルフリーダーに攻撃すると驚いて群れごと逃げ出すのだが・・・
今の俺のステータスなら素手でも殲滅可能だ。
自分の実力を確認するためにもヤりますか!
俺に跳びかかってきたグレイウルフ四匹・・・前後左右から・・・を右手手刀で一回転するように凪ぎ払う。
俺の手刀を受け、グレイウルフ四匹が地に倒れる。特に手加減なしで頭部に一撃を喰らわしたため四匹は即死。
そのまま前進し目の前の六匹に次々に手刀を喰らわす。皆、一撃で倒す。
そして群れの間をすり抜け俺と相対してたグレイウルフ達の背後に回る。
瞬く間に十匹のグレイウルフが倒されかつ俺が目の前から消えた・・・背後に回っただけだが・・・ことでグレイウルフ達に動揺が走る。俺の背後を取っていたグレイウルフ達が俺を発見し飛び掛かる。
連係もなにもなしに。
後は跳びかかってきた奴から各個撃破。
四十匹ほど倒したらグレイウルフリーダーが逃走を開始。残りの奴らもリーダーを追いかけ逃走。
逃がしゃしねーよ。
俺は逃げた群れと“並走”しながら一匹づつ狩る。狩り殺した個体を無限収納に放り込みつつリーダーを追う。
そして遂にリーダー一匹となり、
「これで仕舞いだ!」
グレイウルフリーダーに手刀を喰らわせ狩り殺した。
「ふう。初戦闘終了。」
しかし凄いな俺の身体能力。戦闘しながら十キロ近く走ったのに軽く一息つくくらいかよ。
「んー、とりあえず残りのグレイウルフ回収するか。」
と、言う訳でリスポーン地点までGO
帰って来たよ。マラソンのトップランナー級の走りでリスポーン地点まで帰ってきたが息一つ切らさねぇ。改めてスゲイ。
高い身体能力に振り回されることなく体も動くし本当にゲームキャラのステータスが身に付いているんだな。
技能も技も魔法も普通に使えそうだな。無限収納も使えたし。
グレイウルフを無限収納に回収すると改めて状況確認再開。
まず装備。
服は厚めの布を重ねて縫製した通称、冒険者の服。
靴はオーソドックスな革の靴。
武器はない。
次に持ち物。ゲームでは服と靴だけだったけど二週目ウエストポーチが腰に着いてる。中身は・・・
携帯食糧十日分。
水筒・・・容量二リットル・・・が三本。
回復薬・・・通称、初心者ポーションと言われている。リポデ位のビンに入っている・・・五本。
応急薬・・・目薬位のケースに入った塗り薬・・・三個。
止血薬・・・同じく塗り薬・・・三個。
万能毒消し・・・飲み薬と塗り薬・・・三個づつ。
ポンチョ・・・夜営用・・・一枚。
平服・・・いわゆる布の服・・・一枚。
各種調味料・・・塩、胡椒、スパイス何かもある・・・ニセット。
下着、三枚。
身分証明書。
手紙。
大きさの割にはたくさん入っているから空間拡張をかけてあるマジックポーチの類いらしい。最大で五百リットル分位の容量があるっぽい。
身分証明書を手に取る。
名、リョウト=トウゴウ
年齢、十六歳
出身、シャパニア皇国 教都
えっ、十六歳?俺、二十六歳ですけど!?
あぁ、ゲームでは十六歳だったか。と、言うことは十六歳まで若返ったのか?
最後に手紙を広げる。
『やあ。我輩は神様である。平和な世界から命の安い世界に来たがる愚かな愚物よ元気ですか?・・・』
思わず手紙を破り捨てそうになる衝動に耐え手紙を読み進める。
『手紙を読んでいるとゆうことはまだ生きているってことだな。手紙を書く手間が無駄にならんでよかった、よかった。
さて、異世界で二週目始める君に贈り物をしよう。餞別とゆうやつだ。
まず武器に、斬鉄剣・真打と忍者刀を上げよう。どちらもダマスカス綱の名刀だよ。補助武器としてショートソードとハンターナイフを上げよう。これもダマスカス綱製だよ。
防具は革のベスト、革の籠手、黒革のコートだよ。防具は武器と比べてショボいけど忍者だし大丈夫だよね!?いざとなれば全裸覆面で最強だよね!!・・・』
ゲームが違う!!そしてゲームじゃないだろ異世界は!!
『日用品として平服を三枚、下着三枚、タオル、石鹸等をプレゼント!!・ ・・』
なんだよこのノリは?
『最後に現金30万シルバーをプレゼント!!』
これは普通にありがたい。この世界の通貨は、
王貨>白金貨>金貨>銀貨>大銅貨>銅貨
と、なっている。
百枚毎に一つ上の通貨になり、銅貨一枚で1シルバー、金貨1枚で1ゴールドだ。30万シルバーは銀貨三十枚にあたる。入国、入市料が銀貨一枚で宿代が一泊大銅貨三十枚から五十枚・・・3000〜5000シルバー・・・位だからかなり助かる。
『・・・まあせっかく異世界まできたんだ。せいぜい楽しんで欲しい。そしてこれは忠告だ。ゲームと世界観を同じくする世界だが紛れもない現実だ。人を殺せば死ぬし、君も殺されたら死ぬ。創作の中でしか見ない悪徳貴族や王族なんかも普通にいる。もといた世界の常識に囚われるな。最後になったが良い人生を。』
・・・アイツなりに俺のこと心配してたんだな。
手紙が光に包まれアイテムに変わる。
俺は手早くアイテムを回収し装備を整える。
・・・さて、グレイウルフの毛皮でも剥ぎますか。
俺は無限収納からグレイウルフを取りだしハンターナイフを抜いた。