blood05.
「「…やっと…着いた…」」
直後、小刀が飛んでくる。珱華はそれを睨みつけるように横目でみたあと歩き出した。
しばらく進むとドアが勝手に開き、来てみろと言わんばかりにずっと開いている。
珱華は指輪を見つめる。母さまがくれた指輪。そしてそっと呟く。力をかして、と。星悟もペンダントを握りしめる。二人はそれぞれ祈るようにすると、すこし光ったペンダントからは長剣が、指輪は光を放ち強い能力を発揮していた。
「星悟、行くわよ」
「うん」
二人は奥へと進んだ。広々としたホテルのロビーのような場所に出る。
「来たか。何度来ても我には勝てぬ。」
「勝てるわ。私たちは魅血鬼だもの。あなたには負けない。」
「ほーう。なかなかの自信だ。ではこちらも手加減なしで相手をしよう」
そこからは接戦だ。ほぼ互角に莉音と殺りあう珱華と星悟。
「(強い…さすが娘と息子。と言ったところか。しかし…隙がある)」
「…!?消えた?」
「姉さん、後ろ!」
「まだまだよのう、小娘。はぁっ」
「…っく…ぅあ…」
「話せぬか、さすがに。封じたからな。さて、」
「…っぐ…」
「我は最強にして魔血鬼の新時代をきりひらく王。颯真が成し遂げられなかったことを私が受け継ぐ。葉城家が権力を持つ今、夜空家は終わりだ。所詮雪刃も悠兎も弱い身。知っているか、ガキどもよ。貴様らの父母は、能力でこそ上回るが、能力がつかえなくしてやれば無だ。ただの人間に興味はない。これからは魔血鬼が時代をつくる。魅血鬼は滅ぶ。はははは、こんな嬉しいことはない。」
「…だけ?」
「ん?」
「いいたいことはそれだけ?」
「っく…!」
目を赤く光らせた珱華がそこにはいた。敵を排除する本性を剥き出しにしたありのままの姿をした珱華。ゆらりと立ち上がるとまっすぐ莉音を見つめる。
「(あの封印を解いた?そんなはずは…!)」
「さよならよ、莉音。あなたはここで終わる。」
「はああああああっ!」
ざくり、と星悟は長剣で莉音を斬った。
ばたりと倒れた莉音は動かない。
星悟「…やった…のか?」
珱華「…たぶん…。急いで母さまたちのところへ向かいましょう!」
二人は莉音から離れ窓を突き破って空へと飛び立った。愛する両親を救うために。