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blood 01.

星悟(しょうご)ー、早く早く」

「待ってよー珱華姉ちゃんー」

二人は森の奥へ奥へと進んでいきます。目指すは最奥地。好奇心を揺るがすちょっとした冒険です。そして最奥地にあったのは…

「あ!あったー!これこれ、美味しいんだよねえー♥︎」

見つけたのは甘そうな果実。見た目はリンゴくらいの大きさで形は珍しくハート型をしています。

「前に読んだ本に載ってたやつだね!動物の血を吸わなくてもこれさえ食べれば大丈夫だって母様が言ってた!」

「母様に持って帰ったらきっと喜ぶわ!持って帰りましょ!」

お気に入りのかばんに入れた珱華は木から滑り降りた。

「さあ、帰りましょうか」

「うん!」

二人は手を握り、きた道を戻り始めた。森は薄暗く、少しだけ駆け足で戻る。

「!!危ない星悟(しょうご)!」

直後、空から弾丸が降ってきた。

「誰なの!?」

「あら、何かと思えば可愛らしいこ・ど・も♥︎」

「姉さん、姉弟みたいですよ」

「ほーんと、かっわいい。どこから来たのかしらね?」

バンっバンっと拳銃の音が辺りに響く。

珱華は星悟と後ろ手で剣をそれぞれ構える。

「あなたたち何者?」

睨みつけて剣を突き出す。

「私は魔蠣聖奈(まがきせな)、こっちは妹の羚奈(れな)。魔血鬼の生き残りよ。元神子(みこ)。あなたは?」

「私は夜空珱華(やぞらえいか)、こっちは弟の星悟(しょうご)。魅血鬼よ。」

夜空、と聞いて聖奈は眉をひそめた。

「(まさか…あの子の娘…?ならば…本能を引き出しましょうか)」

聖奈はニヤリと笑うと珱華に背を向け月をみたままこう言った。

「あーあ、今日は月が血に染まっているわね」

珱華の目に映る紅い月。母親の言葉が過る。

--紅い月は見てはだめよ。あなたたち二人では能力を制御できなくて暴走するから。母様との約束よ--

ドクン…ッ

ドクンドクン…ッ

「…っ…うっ…」

珱華は胸を強く抑える。しかし間に合わなかった。

「…っあああああああああああああ」

空に向かって叫ぶ珱華。それとともに瞳は赤くなり、牙が鋭く生え、羽根が生え、魅血鬼そのものの本来の姿に変わった珱華は星悟をちらりと見やる。

びくっとして怯えて後ずさる星悟。

「ふふふ、作戦成功ね♪」

「姉さんさすがです」

「……っう…あ」

「言葉も話せないのぉー?魅血鬼さん」

小バカにしたような聖奈の言葉。

聖奈は借りた銃を構え、まっすぐ向ける。

「ばいばい♥︎珱華ちゃん♥︎」

「珱華姉ちゃん!!!」

バァン…ッ

しかし出たのは白い煙だけ。

「子供たちを返してもらうわ、聖奈」

「夜空雪刃…ッ」

くるりと振り返り、珱華に近寄ると至近距離まで迫る。

「ガルル…ッ」

「珱華。母さんよ。怖がらなくていい。ゆっくり目を合わせて。そう、いいこね。」

頬にキスを落とすと、気絶した珱華を抱きとめる。

「聖奈、あなたまだ生きていたのね。」

「雪刃、残念だけど今は颯真ではなくあの方に生かされ忠誠を誓っているの。」

「あの方?」

「貴殿が夜空雪刃姫か」

聖奈たちはすぐさま跪く。いつの間にかすらりとした女性が立っていた。

「そうだけど?あなたは?」

「我は葉城莉音(はじろりおん)。今は魔血鬼の長だ。そして貴様の母を殺し神子の反乱を起こした。葉城颯真の姉だ」

「な…っなんですって?私の母をあなたが?」

「そうだ。泣き叫ぶ様は笑えたな」

冷酷な瞳をして嘲笑った。

「…あなたとはこの先長い付き合いになりそうね、莉音。今日は子供たちが世話になったみたいだし帰るわ」

「ふっ、忘れるなよ、雪刃姫。我がいつでも貴殿を狙い殺したいと思っていることを。聖奈、羚奈、行くぞ」

「「はっ!」」

「気を感じてきてみれば…珱華も星悟もなにをやっているの?殺されるわよ?」

「ぐすっ…珱華姉ちゃんが…母様にあげたいからって…」

泣きながら珱華のかばんを差し出す星悟。

雪刃は、かばんの中身を確認すると帰るわよ、と珱華をおぶり星悟の手を握って城へと飛び立った。




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