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消えたカラアゲの行方  作者: みりん
新しい『わたし』
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はじめまして

実はこの話、あらすじに書いてあるようなことを(書いてみたけど共感してくれる人いるんでしょうか?)ふと思い出して、何故かこの題名を口にしたところ(何故だ)、姉が聞いていて、それをお題に何か書けと言われたのです。


いや無理でしょ、とか思いつつ……

まあ、なんとかなるでしょ、みたいなノリで始めました…。


なのでこの題名どおりに話が進むのか保証ができません(笑)


なのでご都合主義が炸裂するかと思われますが、内心で突っ込みつつスルーしていただけるときっと大丈夫です(何が…)。

 まだ幼い私が『真っ暗なトンネルを通って来たんだよ、苦しかったの』と母に言ったのだと言われたことがあったことを思い出した。


ああ、やっぱりやめちゃおっかな!


とか思いかけてしまうくらいに苦しかった。


でもあそこで止まっていたら、いきなり死んでしまうことになりかねないと分かっていた私は頑張った。

頑張りに頑張って疲れ果てそのまま眠りかけてしまった。


頬をべしべしと叩く存在に文句を言おうと口を開く。



「おぎゃあっ、ふぎゃぁっ、おぎゃぁっ!」






出たのは産声だった。


そういえば初め(・・)から始まるのだったと思い出し、先が思いやられるのだった。













 新たに生きることとなった世界の仕組みはまだよく分からない。

言葉は理解できなかった。

逆に出来ない方がいいのだと気づくことができた。

理解できてしまえば明らかに子供らしくない子供が出来上がってしまうから。


何度も同じ挨拶を繰り返し言われているうちに、「おはよう」と「おやすみなさい」は分かるようになった。



そして私のあげはという名前は


アルフィリッタ


になった。

名字はまだ分からない。




「おはよう、アルフィ」


ぼんやりと目を開くと柔らかな低めの声が聞こえてきた。

私の新しい母親の声だ。

私のことをアルフィという愛称で呼んでいる。

初めは異世界物語風に考えて乳母かと思っていたがそうではないらしい。

姉と思われる幼い少女独特の愛らしい声がお母様と呼んでいた。

そんな気がした。

お母様は姉をアイリと呼んでいた。きっとそれも愛称だと思う。

母親をお母様と呼ぶのだから私が生まれたのは貴族かお金持ちか、そういう文化の世界なのかもしれない。

けれどぼんやりと感じられる色は、そんなに派手でもないからよく分からない。



夜一が私の願いを叶えるために選んでくれたのかもしれない。

それを確かめる方法は今は無いけれどそれでいいのだと思う。

私が生まれたこの家族が決められた場所だとしても神様はそこにいる人たちを操ることまではできない。

つまり私の家族やこれから出会う人たちの言葉や私に対する態度は全てその人自身が造り上げるものなのだ。

それはどこに産まれようとも同じなのだ。


それだけ知っていれば十分だから。













 ひたすら眠ってお乳を飲んで過ごしていく内にどんどん日が過ぎていく。

初めてお乳を飲むときは抵抗があるかと思ったけれど生きていくためにはそうは言っていられないのだろう、目の前に乳房を持ってこられてそれを避ける方が辛かった。

更にお風呂で体を丸洗いされる事に関して言うと、抵抗があるどころか、お湯に入れられた途端に意識を失うように眠ってしまった。

そのお陰かお風呂での記憶が全くと言っていいほどない。

最近になって慣れてくれるまで、お母様もメイドさんらしき人も大慌てで心配をかけてしまった。


…ごめんなさい。

私にも理由が分かりません。


心もお腹も一杯に満たされて心地よく眠り、幼さ故か何度か熱に侵されながら、あっという間に1ヶ月、2ヶ月と過ぎて段々と周りの色が見えるようになってきた。


耳ははっきりと聞こえているのになかなか目が見えるようにならなくて、見ることも好きだった私は退屈し始めていたところだった。

どうにか見えないものかと自分の手をじーっと見つめてみたり、もやっとした人の影を判別しようとしてみても出来なくてショックで泣いてしまったことも度々あったものだ。



色が見えるようになると、人が見分けられる。

そして家族の顔やベッドに施された模様や部屋の中の家具たちがはっきりと見えるようになってくる。


それだけのことがこんなにワクワクするだなんて知らなかった。





じーっと見つめ続けてはっきり見えた瞬間に私はびっくりして自分の目を疑った。


お母様もアイリ、お姉様も見たことのないような、夜一ともまた違う美人さんだったのだ!


お母様は目元がキリッとしていて、可愛いか格好いいかと言われると格好いい。

大人っぽいのに物凄く若く見える。

いつも耳にする中性的な低い声がぴったりで、想像していた貴族のお嬢様とは随分かけ離れている、大袈裟に言うと体育会系な感じだ。

でも見た目と性格を比較すると何となくずれているような気がしなくもない。

がしかし、それも大好きなところのひとつだ。

スレンダーで出るところは出ているというのも見過ごせない。


逆に、お姉様は目元が優しくて可愛い。

きっとまだ4、5歳くらいだと思われるが誰もが見惚れる大人の可愛さへと成長していくだろう顔つきをしている。

私が眠るベッドを一生懸命覗き込もうとぴょんぴょん跳ねているのがとても可愛い。


2人とも日本人にはない顔で、でも違和感はなく兎に角綺麗。

貴族ではなさそうな、前世のどこかの民族衣装にありそうな服装が似合わなそうなのに、頭を抱えたくなるほど似合っている。

信じられない。


自分の姿はまだ見たことがないから分からないが、同じようにとは言わないにしろ綺麗になれるといいなと思う。

1人だけ平凡とか仲間外れみたいで悲しいから。


胸は無くても、前世で慣れ親しんでいるからいいが。

というか、むしろ無くていい。


2人の髪は薄茶色で光の加減によっては金色に見えたりする。

お母様はストレートで、お姉様はウェーブがかかっている。

瞳はお母様が青、お姉様が翡翠。


お父様とはまだ出会ったことがない。

忙しいのか、いないのか、そういう風習なのか。

お母様がよく側にいるからお父様は仕事で忙しいのかもしれない。





因みにこの家にはメイドらしき人が2人いるようなのだが、2人とも美人だった。







どうなってる……この世界

読んでいただきありがとうございます!

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