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消えたカラアゲの行方  作者: みりん
新しい『いばしょ』
35/51

目覚め

分割点で悩んでいたら時間が…


「…ん、……まっ………」


 瞼の向こう側から明るい光が差し込んできて、アルフィリッタの声が聞こえてきた。

声が鳴るのと同時に喉にキリリと痛みが走り、それが私の声だと訴えかけてくる。


意識がはっきりと覚醒してくるにつれてその痛みが存在を主張してきて、息をするだけで痛みが襲ってきた。


「ケホケホッ!」


喉がカラカラに乾燥しているらしく、幾本もの針に刺されたような激しい痛みがして目を見開く。

ついでに吐き気もしたが、胃の中が空っぽなのか嘔吐くことしかできない。


 痛みと吐き気を堪えながら周りを見渡す。

私が寝かされているのは私のベッドのようだ。

流石に寝ている私を一日中そばで見ているわけにもいかないのだろう、部屋には誰もいない。


メイドがいるじゃないかって?


この家のメイドはモニアとフルゥの二人だけだ。

彼女たちにもそれぞれの仕事があるだろうし、自由もあるだろう。

それに私達は貴族ではないのだからいつもメイド(というか侍女?)がお世話をしてくれるわけではない。


とにかくそんな感じで誰もいない。


 お姉様はまだ学校だろうか?

まだお姉様が帰ってくる前ならあまり心配をかけずにすむだろう。

でも、これだけ喉が痛いと一晩は意識がなかったのではないかと思う。

きっとまた不安にさせてしまった。

優しいお姉様のことだから、私をどうにかしようと頑張ろうとするだろう。

どうしよう、これ以上頑張ったら私の大事なお姉様が体を壊してしまうかもしれない。


お姉様を守るためにも早く強くならなくちゃ。


 お父様とお母様は仕事だろう。

仕事とは言っても会社に行ったりするのではなく、農業や狩りをしに行ったりする。

私がどんな状況でも自分達の食糧は調達しなければならない。

この村では前世のようにスーパーに行けば肉や魚の切り身が売ってあったり、惣菜が売ってあったりなんてことはない。

大きな街の事は知らないが、この村にはそもそもスーパーなんて無いからだ。

勿論村の中で商売をしている人もいるが、それを買うためにも対価になる食糧などが必要になる。

ご近所付き合いにしても、貰ってばかりではいられない。


それに、それ以外にも村の外で換金するために狩りをしたり私の知らないことを沢山している。


 家族がそれぞれのすべきことを忙しくこなしているのに、一人だけベッドに住み着いて心配や負担ばかりかけているのが悔しい。



 そして、目が覚めた私は忙しい皆の手を止めてしまうのだ。


起きたことを伝えなければならないから。


 キョロキョロと目を動かして周りをみると、思っていたよりすぐ近く、枕元にベルを見つけた。

これは急に具合が悪くなったときに鳴らすためのベルだ。

いつも机の上とベッドには必ず一つずつ置かれている。

このベルを鳴らせばお母様に音が伝わるのか、仕組みはわからないがお母様が駆け付けてくれる。

お母様が忙しいときはお父様やフルゥ、モニアが駆け付けてくれる。

お母様が何かで伝えているのだろう。


 そんな何度もお世話になっているベルで私が目が覚めたことを伝えようと思ったのだが……如何せん。

身体が言うことを聞かないのでベルに腕を伸ばすことができない。

何時も意識があって鳴らすときは、この身体で生きてきて覚えた感覚で動けなくなる前にベルを鳴らせるのだが、今回は既に動けなくなっていた後だったためにいつも通りにはいかないようだ。




 はぁ…


 実際にため息をつくと喉が痛むから内心ため息をつく。

 アルフィリッタになってからというもの、ベッドの中で過ごしてばかりで誰かが入ってこなければ常に一人。

体調を崩す度に誰かが来てくれるが、肝心の私は意識が朦朧としていて。

調子がいいときでも他の子供たちと同じように遊べないからなかなか一緒にいられない。

家族も常に側にいることはできないから、一緒にいられるのは食事のときくらい。

嘗て通っていた学校とも縁がなく(年齢的に)、すっかり一人が身に付いてしまった。


私が前世で(かつて)子供だったときにどう過ごしていたのかもよく思い出せないし、精神年齢が異常なこの身では余計に一人を実感してしまうのかもしれない。


悲しいかな。


人付き合いが苦手で自信をもって親友、いや、友達と言える友達を作ることも出来なかった私である。

更に人から遠ざかってしまったお陰で人が集まる学校に通い始めたらパニックやら過呼吸やら起こしそうだ。


そもそも学校に通えるのかなんて、そんなこともう考えさせないで。

私の軟弱な身体と弱々な精神をなめてはいけない。


豆腐がどうのと言ったか…。

身体も心もお豆腐な………。



 私のメンタルがどうとかは考えないようにして……、たが身体が動くまで待つにしても誰かが来るのを待つにしても、なにか考えていないと余計に悲しくなりそうだ。





 ああ…静かだ……


…等と傷心気味に思おうとしたら、考え事のせいで先程まで気付かなかった音が聞こえてきた。



ジジ…ジ、ジーー、ジジジッ……ジー…



不規則な、あまり嬉しくない音。

とはいっても結構小さい…と思うから、慣れてしまえば何ともない音。

前世の家にあった空気清浄機の音に割とよくにているかもしれない。


 そんな音の正体は、医療魔道具である。

私が酷く体調を崩す度にお世話になってきた魔道具のひとつだ。

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