表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
infiorarsi 2  作者: 影都 千虎
消失
28/54

09

 ロドルフォはロレーナたちを引き連れて家に帰るなり、居るかどうかも確認せずに大声で言った。

「おいアドルフォ! 仕事だ。頼まれろ!」

 その声を聞いたアドルフォが階段からにょっきりと顔を出した。その顔は少しにやついている。口には煙草を加えており、煙草の臭いがロレーナたちの方まで漂った。

「帰ってくるなり何だよ。俺に仕事しろって?」

「ああ。一人居なくなったから探してくれ」

「へえ」そう言いながらアドルフォはゆっくりと煙を吐く。「誰を?」

「俺のバカ息子」

 ポロッとアドルフォの口から煙草が落ちる。間抜けな顔をしていた。落ちた煙草はアドルフォの体の一部に当たったらしく「あちぃ!!」なんて言って騒いでいたが、ロドルフォはそれを無視した。

「ネロちゃんを探せって……あいつは引き込もってんじゃなかったのか?」

「そうじゃないから探せって言ってんだろ。分かったらさっさと仕事しろ」

「人使いの荒い奴だなホント……」

 落ちた煙草の火を消して、吸い殻を勿体無さそうな目で見つつアドルフォはため息をついた。それから「仕方ねえ」と更にため息をついて新しい煙草を取りだし言った。「見つけらんなくたって文句言うんじゃねえぞ。人探しなんて滅多にしねえんだからな」

「知ってる。期待はしてねえが情報なら集まるだろ」

「分かってる奴ってのは可愛くないねえ」



「とりあえず」ロレーナたちを座らせるとロドルフォは言った。言いながら飲み物も作っている。アルコールではないようだ。流石に昼間から酒を飲ませるのはどうかと思ったのだろう。

「俺にわかる限りの状況を教えてくれ。全部だ。それから、昨日までのこと。結局俺はよく知らねえんだ」

 昨日、精神崩壊しそうになっていたのが嘘のようなハッキリとした口調でロドルフォは言う。その目付きは鋭かった。

 ロレーナたちはその様子にやや驚いたような顔をすると、顔を見合わせて頷きあってから状況の説明を始めた。


「……なるほどな」

 説明を全て聴き終えると、ロドルフォは顎に手を当てて少し考えるような素振りを見せた。

「確かに、襲われたってのも無くはねえな……魔術を使えるんなら余裕だろうな」

「でもぉ……ネロ君を拐う理由が……」

「ヴァンパイアの能力だろ? いつだか魔女の嬢ちゃんが言ってたけどよ、人間だって魔力の使い方を知れば魔法を使えるらしいぞ?」

 ロドルフォの言葉にナディアとリヴェラが目を丸くした。そんなバカなと言いたげな表情だ。

「ああ、やっぱりそれ、本当なんだ。噂で聞いたことはあったけど半信半疑だったんだよね。ヒヒヒ、これでお兄さんがヴァンパイアの能力を使えるようになったって説も有り得てきた。よかったね、リヴェラ君?」

 わざと嫌味ったらしく、皮肉を込めてスメールチはリヴェラに言う。リヴェラはスメールチをキッと睨んだが、特に反論の言葉は無いようだった。

「うーん……ネロ君がヴァンパイアになっちゃったっていうのは諦めて認めることにするけど……でもネロ君が犯人っていうのは、あたしはやっぱり考えられないかな」

「感情論はいらないよ?」

「それ、リヴェラ君が言えることじゃないと思うよ? まあいいや、あのね、今回はちゃんと理由があるんだけど、ネロ君がクリムちゃん? と、ブランテ君? の記憶を消してなんになるのかなって」

 二人の名前が疑問系であることにロドルフォは一瞬眉を寄せたが、ロレーナの顔を見たのと、さっきの話を思い出したのとで直ぐに元に戻した。

「ブランテ君? と、ネロ君って親友だったんだよね?」

「……一歳の時から一緒にいるから親友ってレベルじゃねえかもしれねえな」

「クリムちゃん? って、ネロ君の好きな人だったんだよね? ……認めたくないけど……」

「そうですねー。クリムちゃんのお墓にぃ、アネモネを置いたのはぁ、多分ネロ君ですからー」

 ロレーナは言いながらそのときの様子を思い出して微笑ましいような寂しいような気持ちになった。ネロは直接伝えることができなかったから、ああいう形をとるしか出来なかったのだろう。

「うん。だからね?」ナディアは沸き上がろうとする感情を抑えて続けた。「そんな二人のことを誰も覚えてないなんて、嫌なんじゃないかなあ?」

「……それも、そうですね」

 ナディアの言葉に反応したのはビアンコだった。

「お三方がどういう関係だったのか……私は、知りませんけど、でも大切な友人が忘れられていくのは寂しいですよね」

 そう言ってビアンコはチラリとロレーナの方を見たのだが、果たしてロレーナはその視線に気付いていたのだろうか。

「とりあえず、だけど!」

 段々居心地が悪くなってきてしまったのか、リヴェラはわざと声を大きくして、わざと机を叩きながら立ち上がって言った。

「犯人も、ネロ・アフィニティーもみつけて、本人から理由を全部聞く! これでいいよね?」

 言っていることが前と今とでちぐはぐだった仕方ないだろうと五人は妙に微笑ましい視線をリヴェラに送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ