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人魚の生き方  作者: 義昭
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いろいろな卵

さて、卵を取り出して作ったのはそれぞれのゆで卵。

味を見てどんな料理に合うのか確認していく。


比較的鶏卵に近いものはマヨネーズ用に避けておく。

塩味があるものは料理用に。

甘味があるものはお菓子ように。

それ以外は別に置いておく。


鶏卵に似たものでまずはマヨネーズ。

チリルにも協力してもらって次々と仕上げていく。


「これは味が薄いね、これはちょっと違う、これは濃いけどくどいなあ……」

近くまでは行くけれどなかなかこれと言った味にはならない。


気分転換にお菓子でも作ろうか……そう思い卵を手に取るところりと卵が転がった。

サービスでもらったウィーウェの卵だ。


「これ……」


1個しかもらってないからもったいない気もしたけれど、とりあえずこれで作ってみようかな。

どうせ無料(ただ)だし!


だいぶ腕も疲れてきたからこれで最後にしよう。

慣れた手つきで作り始める。


「チリル……これ、三つの黄身を分けて作るべき……?」


『本当だね、どうしよっか』


「う~ん、とりあえず。黄身を分けてそれぞれ作って最後に一緒にしようか」

『名案ね、そうしましょう』


作り終えて味見をする。


金色の黄身はとても濃厚なマヨネーズに。

白色の黄身はまろやかなマヨネーズに。

朱色の黄身は甘しょっぱいマヨネーズに。

3つを合わせると、とろけるようなマヨネーズが出来上がった。


「これは……」


『美味しいね……』


見た目は金のラメがちりばめられて、白に薄められた朱色が光に反射して光る。


「見た目はマヨネーズとはかけ離れたけどね」

これを見て誰がマヨネーズと思うだろうか……。

けれども味は濃厚でとろけるような美味しさのマヨネーズだ。

これは余計なものをいれないで、そのまま出したほうがいいだろう。


*


「ちょっと、チリルちゃん!ウィーウェのまよねーずはもう売り切れなの!?」

「あたくしも欲しいわ!」

「あんた、昨日買ってたじゃない!」

「何よ、使い切ったのよ!」


マヨネーズの販売はチリルに任せていた。

と言っても小瓶に入れてあるマヨネーズ、限定30個だけどね。

手作りマヨネーズだから賞味期限とか明確に言えないし2~3日で食べきれる量で販売している。


私は料理作らなきゃいけないから、『それくらいならまかせてよ』というチリルにお願いした。

それにしてもおばさまズって妖精相手でも強いなあ。

昨日はあんな人数を黙らせたチリルがたじたじになってる……。

ちょっと助けに行こうかな……と思った矢先に注文伝票が入ってくる。


『からあげ御膳、マヨネーズ多め』

『天麩羅御膳』

『鶏天御膳』

『野菜御膳 ドレッシングはオリジナルで』


最近は伝票に食べ方やドレッシングを指定してくる人も増えた。

とりあえずチリル、ごめん。料理を先に作ってから助けに行くよ。


ばたばたと揚げ物をすませて、提供していく。

野菜御膳は、ベジタリアン用だ。

海の生き物は生き物を食べない人も多い。そんな人ように何種類か野菜のみで作られた御膳を提供している。

提供する場所にセットするとふわりと浮いてお客さんの所まで料理がいくけれど、余裕があるときは自分でもっていくようにした。

しっかり顔をみてお礼を言いたいしね。

接客もしっかりと対応したいけど、一人じゃできることも限られてくるから仕方ないんだよね。


さて、チリルを助けに行きますか。


「んもう、この場でちゃちゃっと作っちゃってよ!」なんて声が聞こえる。


「すみません、お客様。本日は売り切れでして……また明日お求めください。申し訳ありません。」

深々と頭を下げる。


「ルーサちゃん、ちょっと待ってるしちゃちゃっと奥で作れないかしらあ?私どうしても食べたくってえ」

少し落ち着いたのか、ゆっくりと喋ってくる。


「申し訳ありません、1日30個と決めてますので……」


「じゃあ、とりおきとかは?予約とか!」


「申し訳ありません……その予定はないんです」

本業は飲食店だからね。マヨネーズばかりに気を取られてはいられない。


「そう……残念ね」

本当に残念そうに呟き、「また明日くるわ」と言って皆で帰っていった。


『ルーサ、ありがとう』


「ううん、頑張ってくれてありがとう」

お礼を言うとへたり込んでいた羽がぱたぱたと嬉しそうに動いた。


マヨネーズの回は終了です。

長くなってしまいました……。

そろそろ 食 も終了しようかな。

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