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人魚の生き方  作者: 義昭
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神の考え

窓から入ってきた光で目を覚ます。

「あれ……?」


「おはよう、ルーサ」


朝の挨拶をかけてくれたのはルンダさん。


「おはようございます……、あれ?私、昨日……」

メロディーにいたはずだ。


「昨日、歌ったんだって?スナーシャさんが褒めていたよ。とても綺麗な歌だって。

緊張か疲れか、そのまま寝てしまったみたいだよ。

連絡をもらって私たちが迎えに行ったんだ。

慣れないことをしたからね、知らぬ間に疲れていたんだろうね。お疲れ様」


働きに行ってそのまま寝てしまうとか……最悪じゃないか。


「あのっ、謝りに行ってきます!!」

飛び起きて、家を出ようとする。


「こんな時間にかい?」

悪戯っ子のような顔で言いながら時計を指す。

時間はまだ6時半だ。

まだまだ出勤時間まで間がある。


「あ……」


「それに、今日はお休みでいいと言われているからね。ゆっくり休むか、好きなことをしなさい。」


呆れられちゃったのかな……。


「ふふふ、ルーサはすぐに顔に出るね。そんなにしょげないで。大丈夫だよ。

週に一回のお休みだけしか休んでないから、たまには羽を伸ばすようにって言ってくれたんだよ。

好意を無駄にしてはいけないよ」

そっか……じゃあ今日は沖に行って人間の船でも見に行こうかな。


一週間は7日。お休みは3日目の水曜日。

市場もお休みで一番お客さんが少ない日数なんだそうだ。

そういえば、お金や数字の単位も時間も、食べ物の名前も、全部一緒だな。

なんでだろう?


困った時の神頼り!

神様に疑問をぶつける。

ポンッ

『どの世界も一緒』


相変わらず達筆ですね。神様。


ポンッ

紙はまだ続く。


『世界は無数に存在する。地球もこの世界も他の世界も、時間軸や単位、総称、全て一律』


ポンッ


『世界の中で変更された単位とかは知らない。この世界は前と一緒』


なんという有難い……。

でもなんで一律なんだろう。


ポンッ


『一律にした方が楽』

なるほど、面倒くさかっただけなのね。でもそのおかげで違和感もなく話が出来るから嬉しいね。

まあ、この世界ではお金だけじゃなくて物々交換も大きいけどね。


3人でご飯を食べて、昨日のメロディーでの話をする。

ローサさんに荒城の月を教えると、その場で歌おうとしたから慌てて止めた。

歌いだすと歌声につられて皆来ちゃうからね。

ご飯中は遠慮してもらおう。

以前も食事の準備中に鼻歌を歌っていたらいつの間にか子魚のコーラスが混じっていたり、楽器を持って人魚たちが集まり始めて慌てて止めたんだっけ……。


さあ、時間は8時半。

外の海へ行くのは初めてだから楽しみだ。


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