許可と安堵
「ただいま」
「おかえりなさい、楽しかった?」
ローサさんだ。
「ええ、商いの村を回ってきました。とても楽しかったですよ。
あと、食の村にあるメロディーってお店の店主さんとお話もしました」
明日からバイトに行くと伝えなければ。
「私、明日からメロディーでバイトすることになったんです」
食事が用意されている部屋に行きながら伝える。
食事はもちろん空気のある部屋。
机に綺麗に並べられたサラダやパン、シチューの匂いが食欲を掻き立てる。
「明日から?」
ルンダさんが驚いたような顔で私を見る。
「さあさあ、とにかく食事にしましょう?」
ローサさんの食事は美味しい。
パンは少し硬いけど、どの家庭もそんなもんらしい。
今度食パン出してみようかな、驚きそう。
「で?バイトってどういうことだい?」
食事をしながらルンダさんが私に質問をする。
「今日、アズキ村に住んでいるスナーシャさんって方にあったんです。
食の村で喫茶店をしているらしくて、話をしているうちにバイトすることに……」
「う~ん……反対はしないが、早くないかい?もっとゆっくりしてもいいんだよ?」
ルンダさんの心配も分かる……分かるけれども……
「いや、前世ではずっと働いていたので1ヶ月も何もしていないと飽きてきちゃって……
それに特技も分かったから、何か出来たらいいなって思ってたところなんです」
「そうかい?ローサはどう思う?」
「いいんじゃないかしら?自分がしたいことをするのが一番よ。
ルーサは子供だけど、子供じゃないわ。」
ねっ、と言いながら私にウインクするルーサさん、可愛いです。
「う~む……」
ルンダさんはまだ唸っている。
「遅くなるようならちゃんと連絡するのよ?迎えに行くことだって出来るし、安心も出来るしね」
ルンダさんを無視してローサさんが話を進める。
「分かりました」
私もそれにこたえる。
「ううぅん……」
ルンダさん……ダンディーな顔が台無しですよ。
「危ないことはしないでくれよ?」
ようやく自分の中で納得できたのか、私にほほ笑んでくれた。
「はい、もちろん。」
こうして、私は働く許可をもらった。
楽しみだね。




