私と神
考えていても分からない……。とりあえず願えってこと?誰に?自分自身に?神に?この世界に?星に?月に?太陽に?
分からないことだらけだ……。
でもやってみなければ始まらない。
『願います、花を下さい。』
ポンッ
コルクが抜けたようないい音で眼の前に一輪の花が浮かぶ。
これは、私の一番好きな花、桜。日本で一番ポピュラーなソメイヨシノ。
うおおおおおぇええぇぇ??
ほんとに!?出てきちゃった!ひとつだけだけど、桜だよ!懐かしいなあ……。
春には花見に行って、屋台を食べたり河川敷を散歩したりしたっけ……。
『願います、食パンを一枚下さい。』
ポンッ
しまった、空気の部屋で出すべきだった……。海水で濡れて出てきた瞬間ふにゃふにゃだ。
とりあえず、分かったことは具体的にものを頼めばそれが出てくるみたい。
どうしよう、どうしよう!これで何が出来るかな。意外と万能じゃないか!
この食べ物がどこからきているかが問題なんだけど……。
『願います、全てはどこから出てくるのか教えてください』
ポンッ
そこには一枚の紙が浮いている。達筆な漢字で『神』とだけ書かれている。
うそーん……。
『ね、願います、出てくるものの共通点はなんですか』
ポンッ
また紙。内容は『知識』
なるほど……多分私の知識だよね。私の知っていることだけ出せるみたい。
前世の記憶がある分これはかなり有利かも。問題は曖昧な記憶でも大丈夫かということだけど……。
『願います、料理のレシピを下さい』
ポンッ
一冊の料理本が出てきた。ちなみに題名は『小学生から始める料理!超初心者編!』
ああ、なるほどね。知識ってそういうこと……。
余談だけど、悪いことを願うとどうなるのかと聞いたら紙に『天罰』と書かれていた。
悪用は絶対しないと決めた。




