私の特技
そろり、と手を伸ばし親指と人差し指で飴をつまむ。
一瞬、真っ黒になりまた通常の飴に戻る。
「黒……?ねえ、トキエラさん、黒って何?」
触っても色しかわからないから、情報がないんだもん。困っちゃうね。
「黒……?確か、無限の願い。だったと思うけど……とても希少よ。
色って全てを足すと何色になるか知っている?」
「えっと……黒だよね?」
「正解!私たちの特技も色で教えてくれるけど、それが全部混ざると黒になる!ってこと。
ルーサちゃん、すごいわね!!」
てっきり、悪の象徴とばかり……そういえばさっきアイラさんの髪は黒くて神秘的って言っていたから別に悪い色じゃないのか。
「どんなことが出来るんでしょう?」
「う~ん、初めてみたから何とも言えないけれど……聞いた話では、なんでも出来るって。
今まで無自覚で何かしていたこととかないの?」
う~ん……特にないなあ。
これから少しずつ見つけていこうかな。
「特には……」
「じゃあ、これからに期待だね!」
「はい、がんばってみます!」
とにかく、この特技を使って何かできないかな。
トキエラさんにお礼を言って家へと戻る。
家に帰るとルンダさんが寛いでいた。この人が大食い……想像つかないなあ。
紅茶とかを優雅に飲んでるイメージなんだけど。
「ルンダさん、私の特技が分かりました。黒色で『無限の願い』みたいです。」
「本当かい?それはとてもいい特技を身につけられたね。ローサもきっと喜ぶよ」
少し驚いたものの、微笑みながらヒレで私を撫でてくれる。ちょっと先が堅くて痛いんだけどそれでもとても嬉しい。
「はい、ありがとうございます。私、これで何が出来るか分かったらいろいろとしてみたいと思います。」
「そうか、無理をしないようにね。何かあったら私たちに相談しておくれ」
「はい、そうします」
軽くお辞儀をして部屋へと戻る。椅子の上に座りながら、どうすればいいかと悩むけどこれといって何をすればいいのか分からない。
無限の願いって抽象的すぎない?歌とか千里眼とかそれこそ大食いとか、もっと具体的に教えてほしいんだけれど。