私と他
よし、とりあえず、公園に行って真実の飴を探そう。
自分が何を得意とするかでやることが決まる気もするし。
「って息巻いて来たのに……こんな時に限って見つからないなあ……ローサさんの時は必死だったから結構集中してたしねえ……う~見つからない」
「あれ?ルーサちゃん、どうしたの?」
声をかけてきたのは薄いピンクの珊瑚の上に座っている女性、トキエラさんだ。
モスグリーンの髪を指先でくるくると遊びながらニコリとこちらに笑顔をくれた。
この世界の人たちは本当に多彩な髪や目を持つなあ。
決してケバケバしい色ではなく、その人がその色であることに違和感もない。
トキエラさんの目もモスグリーン、垂れ目で見た目通り優しい人だ。
困っていると助けずにはいられない、そんな人。困っていた私を見つけて声をかけたんだろう。
「トキエラさん、こんにちは。真実の飴が見つからないの。ローサさんのときはすぐに見つかったのに」
「そうなの……じゃあお手伝いしてあげる」
「う~ん、でも、自分の得意なことを知りたいから……もう少し頑張ってみます」
そう……と呟いて残念そうな顔をされるとものすごく申し訳なくなる。
「代わりに、皆どんなことが得意か教えてください!」
ちょっと気になってたことだしね、この機会に教えてもらう。
パアアと花が開くように笑顔になったトキエラさんを見て苦笑しつつ、話を聞く。
「そうねえ、隣の家のアミルーダ、ほら!茶色の髪で狐みたいな目をした男の人!彼は、細工が得意よ、家や家具の模様を彫ったりもしているわ。すごく堅い宝石だって彼にかかればお手の物よ。
それから、アイラ、そう真っ黒な髪がとても神秘的で可愛らしい子よね。
あの子は千里眼、よく相談に乗っているらしいわよ。
ルーサちゃんのお母さんは歌よね、とても素敵な歌声だわ。彼女が口ずさめば龍をも眠ると言われているわね。
お父さんはとても素敵よね、優しくて、それでいて可愛らしくて、新月と満月の日はいつも心待ちにしていたわ。あ、ローサには内緒よ?」
ちょ……まさか?
表情を察してかすぐに言葉を続けるトキエラさん。
「あ、違うわよ~憧れってだけ。2人はとてもお似合いだと思うわ。」
そう言ってくすくすと笑う。遊ばれた?
「ルンダさんは、どういう特技を持っているんですか?」
「彼のはねえ、なんと、大食いよ!」
ええ……?
「彼は、満月の日に近くの村で開催されていた大食いイベントで優勝したの!
ふらりと姿を現して、村のほとんどの食べ物を食べつくして、またふらりとどこかへ消えたから村では大食の神って呼ばれているらしいわよ」
すごいギャップだ。
というより、結構当たり外れが激しい特技なんだなあ。
私、早食いとかだったらどうしよう。
そんな会話をしながら、飴を探しているとようやく一粒見つけた。
「トキエラさん!あった!ありましたよ!!」
なんだかんだで喋りながら一緒に探してくれていたトキエラさんを呼ぶ。
「良かったねえ、じゃあ、触ってみて?どんな色か楽しみね。」




