歌と特技
「ねぇ、どうして真実の飴って言うの?願いが叶うなら真実なんて言葉いらないんじゃないの?」
「ああ、前に長い時間をかけてたくさんの飴を集めた人がいたらしいの。
とても多くの真実の飴が集まったらしいわ。
けれど、その人が願いを口にした瞬間飴が黒くドロドロに腐って消えちゃったんだって。」
ええええ……。
「その人に罰があったりはしないの?」
「ないわ、飴は小さな願いしか叶えないし、願う気持ちによっては全然効かないこともあるみたいだし。」
「そうなんだ、その人は何をお願いしたの?」
何を言ったらそんなことになるのだろう。
「ん~、なんでも世界征服とか?あまりよく知らないけれど……。
結局その人は知らない間にいなくなったみたいだけど、私が生まれる前の話だからあまりよく知らないかな。」
「そっかあ、本当の願いだけを叶えるから真実の飴っていうのね。」
「まあ、それもあるんだけどね。
真実の飴を触って一瞬、色が変わるの。色によって違うんだけれど、その子が最も得意としてくれるものを教えてくれるの。」
たとえばどんなことだろう?
私は変わったかな?
よくみずに袋に詰めていたからわからないなぁ、今度もう一度みてみよう。
「ローサさんは何がついているの?」
「私?私は、歌が上手なの。」
歌かあ、人魚と言えば歌だよね。
その考えはこっちでもあるみたい。
ちょっと胸を張って私に言ってくるローサさんが可愛くてその後歌をお願いすると
あれよあれよという間に海の魚たちが集まって
いつの間にか誰かが楽器を引き出し、誰かがコーラスを歌いだし
誰かが踊りだし……。
そうして夜は更けていった。




