春弥①
とりあえず双子の家に来てみたわけだが、流石は姉さん。
部屋はどこもかしこも綺麗で清潔で、やはり姉さんは筋金入りのA型なのだと、改めて確認させられた。
「ねぇ伯父さん」
扇風機の風を浴びていたところに、春弥がアイスを持って現れた。
ありがたくアイスを受け取って、一口ほおばる。
「なんだよ。つか、片割れはどうした?」
そう聞くと、春弥はテレビのチャンネルを回しながら、部活~、と気だるげに言った。
「お前は?帰宅部なのか?」
「んー……一応、美術部入ってるよ。わざわざ学校に行かなくても、家で課題をやればそれでいいんだ。ちなみに、冬弥はバスケ部だよ」
「美術ねぇ…。実は俺、美大卒業してんだ」
「知ってるよ。母さんから聞いてる。……俺の絵、見る?」
「いいのか?」
「別に。たいして恥ずかしくもないし」
「……そうか」
春弥の冷たい言い方には少し違和感を覚えたが、春弥が立ち上がったので考えるのをやめた。
玄関の正面にある階段を上がって、すぐ手前の左側の部屋が、春弥の部屋らしい。
春弥は扉を開けると、脇によけて、俺に入るよう促した。
ベッドや机には、絵の具が飛び散らないようにカバーが掛けてあって、その上には沢山の絵の具チューブや筆が、見るからに無造作に置いてあった。
俺がその中の一つを手に取ろうとすると、春弥が俺の手を掴んだ。
「一応俺に分かるように置いてあるんだ。あんまり動かさないでね」
「あ……悪い。……ん?」
ふと目をやった先に、まだ途中の絵があった。
鮮やかだが柔らかい色合いのひまわり畑。
その中に佇む、一人の少女。
春弥はたいした絵ではないと言っていたが、そんなことは一切無い。
普段から絵を見ている俺が言うのだ。
間違いなく、これはプロ並みの絵。
しかし……
「……感情が……ないな」
思わず呟いてしまったが、これは、見ればすぐ分かる。
「やっぱり?先生にも言われたよ。いわゆる、無個性ってやつ?」
「でも、高校生にしちゃあ上出来だよ」
そう言って振り向くと、肘が棚の角にぶつかって、ひまわりが入っていた花瓶の水がもろに俺の頭や顔にかかってしまった。
その勢いで、床に尻餅をつく。
「いったぁ……」
腰をさすっていると、春弥が俺の前に膝をついた。
「伯父さん…」
「大丈夫だよ。転んだだけ……ん?!」
俺が顔を上げた瞬間だった。
いつの間にか目の前にいた春弥が、唇で言葉を遮ったのだ。
互いの唇が離れると、俺は何が何だかワケがわからずフリーズしていた。
またまた短くて申し訳ないです(´・ω・`)
でも、春弥編はまだまだ(?)続くので、見ていただけたら嬉しいっす(*⌒▽⌒*)