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ヒストリーオブドラゴニックエイジ

作者: 高島啓市監修小林摩也

本作、4ページ程の物語。『地球史と龍族』の改訂版となる。

太陽系空間にソルとテラまずあり。およそ45.5億年前、龍年にて45.5龍年前にテイアと名乗る火星大の天体衝突せり。破砕に及び地殻はめくれ上がった。

やがてちぎれた破片からルナが誕生する。テラ、内面熱く火柱を上げん。阿蘇の外輪山より一匹の大龍生まれり。大龍、後に内輪山より生まれる雌の白龍を待ちわびた。そして二龍は結ばれ幾多の子龍を生んだのだった。

テラはやがて冷え始め水蒸気の雲により長い雨を降らせた。この豪雨は海を生成するに充分であった。空は晴れ上がり日光照射により海から水蒸気を繰り返し発生させて雲を作り何度となく雨をもたらし、誕生したばかりのルナこれを攪拌し海水は生命の揺籃ようらんとなるのである。そのルナの干満による海水へ恐る恐る入り込んだ子龍が現れた。体から熱が奪われ黒龍と化すも妙に心地よくすぐに海に慣れた子龍は兄弟を誘いともに泳ぎ遊んだものである。子龍達は他にも火山のマグマ溜まりへ入り込んでは高熱の我慢比べなどに興じる者もいたという。やがてこれら龍族は水との親和性の高い水龍と火との親和性の高い火龍へと属性が別れた。

空を自在に飛べたのは大龍とその妻である白龍のみ。これら龍族、その数増やしテラを掌握。龍族は基本一夫多妻ゆえ血が絶える心配はなかった。今より6550万年前、龍年にて0.655龍年前に起こった直径10Kmほどの天体衝突を受け生き残った龍族はその姿を変える必要に迫られた。龍族はその待避所にテラの他にルナの裏側を選ぶよう大龍の命令を備えおいた。むくろを決してさらすことのなきよう最大の配慮を示したのである。小天体との衝突に対抗するために月面ルナあるをテラを直撃したこの大事件、龍は、ある者は火山に潜りある者深海に潜って難を逃れた。龍の平均寿命は人間換算にて80億歳ほどになる。すなわち、人類が地球を見捨てて金色の艦隊従え新たな植民星探索の旅を開始した後に、ある龍が姿を変えず地球にとどまり仮に地球生還を果たす人間が現れたとしても、最期はルナの裏側を目指さん。龍としてその骸を発掘されるには及ばず。大龍と白龍はルナの裏側にて命脈果てられるのだろうか。人間として生まれた龍は、その人間個体の死を迎えるも龍としては新たなる憑依先を求めて一時龍霊は浮遊することになる。龍族の人類における相対的総数約10万龍を数える。誕生以来御霊の潰えた龍おらず。大龍の仰せによれば、龍の死とは眠るようなものにしてただ冷え固まるものらしい。だが子龍の代にて生命が永世化すると話はややこしくなる。この物語のもう一匹の主役、海の中が好きな子龍コークスクリュー泳法にて大いに泳ぐことを楽しんだ。地球暦42.8億年前、龍の年にして2.7龍年が過ぎる頃、地球内部にとどまっていた子龍の兄弟達が大いに暴れ始める。やがて表層の大地は裂けるに及び、大陸は移動を始めた。この大陸移動、人間が映像化に成功したのは20世紀末のことである。子龍がこの大陸移動のシミュレーション画像を初見したのは、まだ20代前半であった。この大陸移動を龍として経験いたしたか記憶は定かでない。当代人間として生まれていた子龍、一端天下を治めたあとは読書漬けの日々を送る。子龍にとって、父母祖父母の存在は45龍年に及ぶまで自らの存在証明を果たす大事な情報であった。この子龍にとっては婚姻など自らの家系を知るまでは不可、家族の存在はこの子龍の自負求めるに充分なものだった。子龍にとりて周囲に現れる一見邪魔な人間達も同じ龍族だとは思っていた。ただ自らがこのテラにありて絶大なる旺羅をかつて放溢させていた過去を恥ずべきことだと感じてもいた。1龍年=1億年にして子龍生まれて45.5龍年。常にテラと共にあり。人間界にして56億7千万年後と言われる救世主弥勒仏の出現は人間界のタイムスケールではあり得ぬ時節である。しかるに龍族にとっては残り56龍年プラス0.7龍年となり、子龍の年齢にして102.2龍歳に起きるイベントに過ぎない。釈尊入滅いたし後の末法の世を祓うこと仏法の説くところなり。

子龍、体短駆にしてその心卑近と見せかけていた。何故か、敵をあざむくためである。敵とは何か、無論仏法の破戒者である。釈尊の得た様々なる奥義あるものは仏教各派に流れ教導として生き経典として残った。釈尊、5千年すなわち0.00005龍年に一人の、人間としての大人物であり、ある龍族の仲間であったと思われる。無論その骸は涅槃を得たのちの仏像の嚆矢となり、アジア一円に伝播することになる。龍族が姿形を変え後世において衆生から尊崇の念を獲得した慶事であった。龍の姿をほぼ完璧にとらえていたのは、中国景徳鎮窯であった。

五爪の龍こそ皇帝の変化身とし国内外でアピールしていたのである。子龍がそのことを知るのは人間として成人したのち、それまでは自らを倶利迦羅龍王の変化身と思いこんでいた。仏壇を前に最後南無のあと初期においてこの倶利迦羅龍王と唱え、のち、倶利迦羅龍。さらに時代を経て南無倶利迦羅、最後は南無クリカと唱えるのみ。「お前がクリカであろう」との仰せに従い病気入院中以外で仏間に至るともクリカの名前を唱えるにあたわず。子龍は何もかもが規格外ゆえ己の作法を通そうとするがそれにも限界があった。龍人生において3龍年ほど入院した計算となる。閑話休題、今生、電磁波の澱を受けず生きられる人間は皆無である。

そして老齢者は年齢たがわぬ老醜をさらけ出してしまう。人間は30歳から年間1%ずつ体の脂肪分が減る、すなわち人間としての余命誕生以来最長でも130歳まで。最期は骨と皮だけとに成り果てぬ。この脂肪分サプリメントで何とかならないか研究中のテーマであろう。それだけではない。人類の未来を揺るがしかねないある事象が存在する。それはテラ由来の様々なエネルギーサイクルのうちのテロメラーゼサイクル、いわゆるテロメア問題である。細胞分裂回数の有限度は少なくとも550万年後、すなわち0.055龍年以降に生物学的雄のy染色体の崩壊が始まると言われている。その結果、雌は胎盤を形成する能力を失い人類は子孫を残すことかなわず滅亡か…それもips細胞の研究分野でもあり、人体の不死化はいずれ達成しうる課題である。難手術もロボットを使用する現代、この医療分野には他産業と大学病院との連携により最先端のヒト・モノ・カネを投入し集中させて病院不足をカバーし、救急医療に人手が回るよう知恵を絞っているのだろう。ちなみにソルとテラは兄弟、テラとルナは仲間である。天祖は日の本、阿蘇より生まれり。幾多の困苦乗り越え現代に至る。ここで無常を語って何となす。無常、それを語るのは外部の人間のみ。災害経験者は明日に向かって当の昔に走り始めている。龍は己れの道を進むのみ。往事のテラが火球であり、好超高温の気性あるやなしやは蓋然性であったか。海を形成した大雨時にテラと共にこれら龍の体熱も冷め水龍は水を求めて大海目指し、一方他の龍は大地にとどまり放射性同位体の崩壊熱を浴び更なる火龍へと変転せり。水龍、カンブリア紀の生命大爆発以前より海中にあり、7度に及ぶ大陸移動をやり過ごし5.4億年前、約40.1龍年以降にも海中にあり泳ぎを堪能していた。続々誕生する生物群は子龍にとりいささか気味の悪さを感じさせるに充分なる異形を誇っていた。ソルの活動が停滞しテラが氷球化したおりは火龍は地下に逃れ、水龍は丸まりじっと耐えた。生命圏、彼らの他は薄くはかなくカンブリア紀の大爆発以後龍はその姿を変えずにいたが地中に残る恐竜らの化石は龍族にはあらず。次世代にして太古の性質を欠くものではなかったのである。これら龍は一部人類へと退化し環境の変化により悪性腫瘍との戦いに身をおき、一方で実験動物であるマウスやラットの類いより耐病性の高い種族が偶然の高運力「セレンディピィティー」により生み落とされ、新薬として人類の延命のために承認され続ける。人として退化した龍族にはちょっとしたイベントや、定番のセレモニーの中でしか楽しみを見いだすことができなくなる。人類龍族の末路は意外に狭い宇宙探検で終わるのだろう。大龍と白龍のカップルは龍として完全体を維持しいずれの種族と交わる必要などない。進化のない代わりに退化もないのである。天祖であるゆえか。羨ましき限り。天祖大龍と白龍、なおのことルナの裏側にとどまり子龍達の退化を見届けるか。支配層、人類であり続けるためには生命の永世化は避けえず。子供が生まれないため総人口に大きな変動なし。このips細胞、とうに不死化の研究は進んでいるのだろう。神経芽細胞や心筋細胞、血管細胞など作成されても最高130歳という縛りがついて回る。体脂肪を単に増やしても別の疾病で亡くなる可能性とてある。人間が万能性を得ることは恐らくないものと思われる。しかし、対悪性腫瘍との戦いに勝利する日は遠からずやって来よう。

テラ、およそ数億年経るうちに地殻活動を止めるということを聞き及んだ記憶あり。テラのダイナミックなプルーム運動、それに付随するプレート活動、これを抑えるためには数億年=数龍年ほどはやはり待たされるのであろう。その間約数10年の5乗回、すなわち、およそ数10万回程今後千年大震災を味あわされるとはいくら我々がテラに臣従していたとしてもあんまりである。宇宙の植民地化は日本人がやむを得ず最初に果たすことになりそうである。最近の自然現象の苛烈さには驚きを越えている。たまたまこの時代に生まれた我々が悪いのだと思われる。テラ、元来気性荒く行状悪し。アポロ計画により人間はルナにたどり着いた。裏側にて控えし大龍・白龍はおびえていただろうか。ともかくルナより採取された岩石等資料によりルナはテラの仲間であることが判明。動画像として既にCG化にも成功している。そして人間はルナの裏側より極地方を主に探索、氷結した水分を求めたのである。テラにありて水龍・火龍は胎動し常に自然を壊して来た。人間はそれに耐え、ただ大自然の猛威だと誤解していただけなのである。人類龍族侮るべからず。いつか天祖に直訴し水龍・火龍にはテラより退散されること思い願わん。

もしくは、敗戦覚悟の戦仕掛けるか、その際の避難地に宇宙空間をも見通すこと必然である。

地球、生誕以来46億年。

救世主の登場まで56億7千万年。

誰も生き残ってはいない。そう、誰一人とて・・・

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