赤眼のレリク 第88話
~アクア視点~
「話をしてくれる?」
私はそう彼に言った。彼は30代後半ぐらいだろうか?ところどころに白髪があるように見える。
彼の隣には二つの動物か戯れていた。
「そうだね。そういう約束だった。まず、こちらから質問させてほしい。いいかい?これは君を知ることにもつながることなんだ。できるだけ、正確に答えてほしい。」
「わかったわ。」
私がそういうと彼は笑った。
「どうやら、まだ君に信頼されていないようだね。」
「普通は信頼できないと思うわよ。」
「ま、それもそうだな。よし、でははじめの質問だ。君は自分が誰だか、覚えているかい?」
「そんなの分かっているわよ。」
だが、私の頭の中に浮かんできたのはレリクだけ。
「やはり、覚えていないようだね…。では、次の質問をしてもいいかい?」
私は頷くしかなかった。
「君はここがどのように見えている?」
「ここ?家に見えているよ。違うの。」
それを聞いて彼はほっとしたようだ。
「それを聞いて安心した。とりあえず、君の“心”はまだ、無事なようだね。」
私の“心”?いったい何の話をしているの?私の体は確かにここに存在しているはずなのに…。
「では、3つ目の質問だ。」
私が考える暇も彼は与えてくれなかった。
「君の体は自分が感じていたときと違うかい?」
私は思わず、顔を青くしてしまった。
「そうか…。あまりよい状況ではないようだな。しかし、君は確かにここに存在しているのは確か。それだけは確信できる。」
私は彼の言っている意味のほとんどを理解することはできなかった。