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デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇(外伝)
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赤眼のレリク外伝2(第4話)

風が頬を打つ…。


こんなにも冷たかったか…。


俺は顔に手をあてた。


熱があるわけではない。


「戦争はこんな感情なのか…。」




俺はギルドの隠れ家のドアをノックした。


「入っていいぞ。」



俺が開けた所には四人。



エムス、テディー。

ギルド統括者、エミー・シャドウ。もうすぐ60にもなろうかというじじいだ。

後1人は知らない女。



「あんたがレリク。」


そう言って俺に向かってくる。

彼女が座っていた椅子が床に落ちる時には俺の前にいた。

筋は悪くない。


「しかし、動きが単調だ。」


雷を纏わせ、身体能力の向上させ、力押し。


それが通用するのはモンスターか一対一の時だけ。


俺は彼女の真正面の剣をかわし、その突きの体が泳いだ際に背中に肘をついた。



ドコ



下の床がへこむのが分かる。



俺はそれと同時に木の術で体を固定した。



「どういうことかな。」


じじいはため息をつき…、エムスは頭を抱えている。テディーは肩を落としている。


「新しいギルドアスターなんだが…。いまいち感情のコントロールが苦手なようだね。」


こいつがか…。


これは少し荒れる戦場になりそうだ。


「名前は?」

「シーリーという。彼女はシトーとは違った汚れ仕事をしていた。」


エムスがいう。


「何事もバランスが大事じゃからの。レリク、お前みたいなのは普通はマスターにはならず、傭兵としてギルドに席を置く。じゃが、アクアがこうではの…。」


「どちらにしても彼女はテディーとともに副隊長とすることにした。経験は浅いかもしれないが、今回の戦いではあまり関係はないかもしれないな。」


俺は席に着いた。

もちろん、シーリーは放置だが…。


エムスが話を切り出した。


「戦況はあまり芳しくない。それは分かっているだろう。イクトは今、劣勢。アクアが加わったことも多いが、問題は我々、ギルドが実際に弱体化しているというのが1つ。そしてイクトの戦術とメジスの戦術の相性の悪さが今回は表立って出てくるだろう。」


イクトは術を中心とした、遠距離または中間距離が得意。メジスは近距離だが、機動力に差が圧倒的にある。それは埋めることはできない。そこで、今までの紛争ではギルドが率先して、相手の差を埋めるべく動いてきた。


イクトとメジスの差は騎士にある。馬に乗りながら戦いというのは難しいもので歩兵としての練度が高くないといけない。馬に乗る以前に歩兵としての資質を見てから、馬の訓練へと移行する。だからこそ、歩兵にも差がある状態では術師が集中して術を発動することが出来ない。


じじいが口を開く。


「今回、ドラゴン討伐でベテランが死んでしまったところが大きいの…。本来ならば、モンスターだけではなく、人を殺めるというのがどういう行為か知らなくてはならぬ。その経験を知っているか否かで戦況は変わってくるじゃろう。今回、マスターになったシーリーでさえ大きい戦いは経験しておらぬ。それに副隊長という役柄では人を率いるということにはあまり無頓着ではいられまい。テディー、レリク。お前たちが実質、率いてもらうことになる。エムスは本部の防備で精いっぱいじゃろうからな。それにアクアが出てくることも想定しなくてはなるまい。」


テディーが言う。


「そうなると問題はアンガス部隊だろう。彼らは強い。おそらく今のギルドでは敵う奴はレリク、お前ぐらいだ。相手はどこに配置するかは分からない。だからこそ、誘き出すのが重要となってくる。」


俺は言った。


「イクトの配置はどうなっている?」


地図を開く。



「今の戦況ではイクトがおされている。森の中での戦いでは圧倒的にメジスが有利だ。しかし、術師が優秀なこともあって、時間稼ぎをうまくしている。」



「ということは両軍がぶつかるのはここになりそうだな。」



俺は指をさした。


イクト平原。


その地形を聞けば皆は知らないことはない。

平原と言う割には背の高い木が多く、また、イクト山があり、部隊がそこに隠れることが可能だ。



「方策としては二つだ。まず、術師を囮に使うということ。」


俺は頷いた。


俺が指揮官ならそれを採用する。

問題なのは歩兵ではなく、騎士。

それを考えるなら、相手は歩兵を誘動として使うはず。ならば、そこにギルドの部隊を配置して、時間を稼ぎ本陣を徐々に移動させながら騎士を打つ体制まで持っていき、その騎士を殲滅させた後、ギルドは森中を進み、相手本陣へ奇襲。その動揺を誘い術師が歩兵を叩く。それが定石だが…。


エムスがいう。


「この作戦はあくまでアクアを倒せるほどの傭兵がいるということが前提となってくる。今の状況ではそれが出来るのもレリクのみ。しかも、誰かのサポートが少なからず必要となるのは明確だ。」


「俺は彼女を止めるだけの力があるかと言われたら難しいだろう。だが、相打ちと言うなら問題はないかもしれない。ただ、戦場での体力の消耗がないということが絶対条件。しかし、中途半端な補助ではかえって邪魔になる。」



じじいが口を開く。


「それならよい作戦がある。」


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