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デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇
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赤眼のレリク 第73話

~ナルミの家~


「それで結局、ここにきてしまったということなわけ?」

「いや、来たかったから…。どうして、そんなに怒っている?」


俺は結局、ある程度の処置をしてからは自然な回復を待つしかなくなった。術エネルギーは底を尽きた状態だったので、回復が遅くなってしまった。それにさすがに複雑骨折までは水系統でも治癒することができない。俺は結局、二日ぐらいに入院した後、医者の言うのを無視して、病院から抜け出してきた。それから、行く当てもないので、というよりもここに来たかったから来ただけなのに…。小言を言われることになってしまった。


「あんたねぇ、どれだけ…どれだけ…。」


そういって、ナルミは涙を流し始めた。

そうか、俺はこの娘を泣かせてばかりだな。


俺は震えている肩を抱きしめた。


「心配かけてすまなかった。」

「うん…。」


そういって俺たちは少しの間抱き合った。



「そうなの…。アンガスさんが…。」


俺は秘密にしたい部分を言わずに、ありのままを語った。話し終えたころには彼女はまた涙を浮かべた。俺たちは家族での付き合いも多かった。それに親父が騎士だというだけあって、何かと相談に乗ったり、乗ってもらったりもしていた。彼女の両親は商人だったから、その分、安くしてもらったりしたり、傭兵の仲介などもやったことがある。


「それで、これからどうするつもり…。いや…。」

「どうした?」

「聞きたくないの。あなたの目を見ていると何をしようとしているぐらいは分かる。もう、ここにくるのも最後なのね…。」


俺は思わず、下を向いてしまった。

 

「気にしないで。なんとなく…なんとなく分かっていたの。いつか、こうなるのではないかと思って…。あなたは自分のことを責めすぎる傾向にあった。あなたは他人のことはすぐに許してしまえるのに、自分が犯した失敗はいつまでも覚えている。」

「そんなこと…!」

「じゃあ、どうして、私のことを自分から抱かなくなったの?」

「それは…。」

「あなたは自分を知っているようで、よく知っていない。それで別にあなたを責めているわけではないの…。ただ…。」

「ただ…?」

「あなたと同じように私にも守りたいものもあるのよ。自分の命を粗末にしないで…。」


そうか…。俺をそんな風に思ってくれる人がここにもいたのか。

親父が言っていたことが少し理解できた気がする。

俺は立ち上がった。


「どうしたの、レリ…


俺は彼女の唇を塞いだ…。


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