赤眼のレリク 第70話
~レリク視点~
まったく展開読めない。親父がやられた。それは理解できたが、この地下はいったいなんだ?そしてなぜ、それに親父が関わっている?しかし、彼女は頭を抑えていた。あの時と一緒だが、何が起きている
しかし、その瞬間、下から声が聞こえてきた。
「彼女はやらせない。」
俺に切りかかってくる。
「風空」
それに反応したアクアの体が浮いていく。
ザッ
俺の隣にテディーが来た。
彼女の隣にいたのはルイだった。
どういうことだ?ルイはもともとこの国にはいないはずだ…。
ギルドが持っている情報というのは何も国とか大きな情報だけではない。もちろん、国にもパワーバランスというものがあるが、それと他にギルドにもパワーバランスというのがあるわけではないが、戦争時以外のときには常に強い傭兵や冒険者は出入りをチェックされている。何か不測の事態が起こった時に対処するためだ。名の売れたものはそういった徴収に参加しなくてはならないときがある。そんなことはあまりないが…。だからこそ、今回は入念にチェックしていた。連れが強い傭兵である可能性も否定できなかったからだ。そこにはルイの名前はなかったはずだ。それはロスにも確認を取っていたはずだ。
あいつとは何回か任務で一緒になったことがある。雷しか使えないという変わったやつだが、その使い方が抜群にうまい。今回の術も瞬間に大量の光を発行するようなエネルギーを瞬時に使わなくてはいけない。コントロールが並はずれてうまい。
「どういうことだ?」
「話は後だ。アクアはなぜか、今弱っている。ルイが彼女を助けたのは予想外だったが、今なら、俺たち二人でやれる。」
「それはどうかな?」
「お前どうした?その腕、それにその傷…」
俺の体はもうすでにぼろぼろだった。左腕は本来、動かないような方向に曲がってしまっている。
そのとき、周りから声が聞こえた。
「電撃のルイか…。彼までも操っているとは…。」
どうやら、ウルゲイの側近がここへ兵を連れて戻ってきたらしい。
ウルゲイはすでに非難していると考えてもいいだろう。
それにあいつらも無事なようだな。
ザッ
ザッ
二人が俺の後ろに着地した。
「レリクさん、無事ですか。」
「退きなさい、ロス。今すぐ治療する。」
そういって、ラリアが俺の治療を始めた。しかし、一向に傷がふさがらない。
その間にも彼女らは上空へと上がっていく。
「ここまでやられて逃がすわけにはいかん。矢を放て。
ヒュンヒュン
大量の矢が彼女らに降りかかる。だが、意味がないのだよ。あいつには…。
大量の矢は彼の目の前で消えうせた。
電子を分解したのだ。ここまで大量の弓をできるとは思わなかったが、彼の腕についているマラリスがそれを可能にしているのだろう。予想以上に強くなっている。
ここは市場だ。見通しもよく、人の出入りも容易にできる。ここに追いつめたウルゲイの手腕は確かだろう。しかし、もう一押しが足りていない。というよりもルイがここに来たことが予想外だったか…。血がどんどん、流れていく。俺が行かなくてはならない。これから先もギルドと国が協力するなんてないことだ。これで駄目だったら、国で対処することになるだろう。それよりもアクアが政治を行うものを操ることを考えたら、今、ここでとらえることが必要なのだ。俺は重たい体を何とか起こした。未来のためにも…。アクアをここで止める。
「行くぞ。ロス、ラリア。」
「しかし、レリクさん。」
「無理よ。そんな体じゃ。それに彼がいたなら、勝ち目が薄すぎる。」
彼は俺と同じランクの傭兵だ。何かと比較されることが多かったが、彼のほうがやり方が派手で、やりすぎてしまうため、評判が悪かった。それに彼は自分のためには何をやってもいいと思っている。
「ハアッハアッ…。」
アクアが頭を押さえながらも、空中で体を起こした。
「どうやら…失敗したようね。」
「すみません。」
ルイがアクアに謝っている。いったい、あいつらはどういう関係だ?
「バハムートを倒すとはやるわね。レリク。でも、次はこうはいかないわよ。完璧な状態であなたと勝負してあげる。ハアッハァ…。フフッ。また今度ね。」
「マジックアイテム!!」
彼女らは俺らの前から消えた。
マジックアイテムとは何百年も前に術師が作った道具だ。いろんな能力を付与している。実際には他の人に分からないことが多く、暴発することもしばしばある。それが難しい問題ではあるが、有名な人が作ったものはよく知られている。しかし、今ではマジックアイテムを作れる人は存在していないため、貴重なものとなっている。それに作り方さえも残っていないようなものを探し出すことは今となっては不可能だ。付与しているもの自体が壊れることを想定していないために、使えないこともよくあることだ。問題なのは分かっていないはずのマジックアイテムを持っていたアクアだ。今見た、マジックアイテムは明らかに年代物ではなく、最近になって作られたものだ。あのように新しいものは存在していないはずだ。今彼女が持っていたのはおそらく転移できる代物だ。二つの指輪がセットになっており、その指輪があるところへ転移してくれる。マジックアイテムはアイテムなので、一回使ってしまえばもう使えなくなってしまう。有名な術師は数や種類を記していることが多いのでこのマジックアイテムは最後はずだが、どうも気になる。
「結局、逃げられてしまったな。」
「ウルゲイは知っていたな。」
「みたいですね。しかし、確信がなかったそうですよ。レリクさんにいってもらわなければ、彼女を誘き出せなかった。それにしてもここまで能力を持っているとは思っていなかったと思います。レリクさんからもっと情報を仕入れておくべきだったと反省されています。聞いていれば対策も立てることができたかもしれないですし。まあ、最後にバハムートを倒したことには驚いきまた。あんなのと同等に戦えるとはレリクさんも十分化け物ですね。」
「まあ、ほめことばと受け取っておく。とりあえず、お前とウルゲイの知っている情報をすべてもらう。今さら、とぼけるなよ。もうここまでされておいて、彼女を無視することなんてできやしないだろう。」
「返答に困るところですが、正直私が持っている情報は多くありません。この地下トンネルについてもまったく聞かされていませんでした。それに、なぜウルゲイ様があなたの父親を呼んで、アクアと戦わさせたのかも分かっていませんしね。それよりも、地下には何があるのか、それを調べることのほうが重要のように思いますよ。もしかしたら、アクアの強さの秘密が分かるかもしれません。」
「とりあえず、俺もこんな状態だ。しばらく休むことにする。しかし、次にあったときには話してもらう。そう、ウルゲイに伝えておけ。」
「かしこまりました。」
話が終わったときに下からテディーの声が聞こえた。
「レリク、親父さんが話があるそうだ。もう長くはない。話を聞いてあげてくれ。」
「分かった。すまないが、俺をおろしてくれ。」
俺はロスとラリアにそう頼んだ。
ここが地下トンネルか…。俺は昔の技術に圧倒されていた。どうやったら、こんなに巨大なものを作ることができる?それにこれだけの岩盤のところに作ったということはかなりの衝撃にも耐えられるようにということだろう。
「親父…。」
俺が見たのは2年も前のことだ、いや、もう少し経ってしまった。別に親父に謝ろうなんて思ってはいない。俺には俺の進む道がある。親父には親父の進む道があった。それだけだ。しかし、その運命はどうもアクアが握っていたみたいだな。
「この傷じゃ、助からないな、親父。どうした?こんな無様な姿で?」
「レリク!」
テディーが怒りの声を上げる。
「し…しょう…。」
後ろから声が聞こえた。
「ロス…か…。大きくなったな…。どうやら…俺が見込んで…いた…とおりだ。」
そういうことか…。なぜ、ロスが俺に付きまとっていたか、分かった気がした。俺の姿に親父の面影を感じたのか…。お前は本当に優しい奴だな。
すると、突然、ロスがわめき始めた
「師匠が負けるはずがない。負けるはずがないんだ!」
「落ち着きなさい!もやし!」
ラリアが必死に抱きとめて、ロスを静止させている。離せば、飛びついてきそうだ。
「みんなは…外に…いって…くれ。息子に…最後の…話が…ゴホッゴホッ。」
血の大きな塊が彼の口から出てくる。
「分かりました。」
ドスッ
鈍い音がした。どうやら、ロスを気絶させたらしい。テディーもこの場にいたいはずだが、その言葉の意味を理解しているようだ。
「すまな…い…。」
ラリアは首を横に振った。
「いえ、ゆっくりとお話をしてください。じゃあ、私たちは地上に出ておくわ。何かあったら、テディーに連絡して頂戴。分かったわね。赤眼。」
「ああ。」
彼らは外に出て行った。