赤眼のレリク 第68話
~アクア視点~
ここはいったいどこ?
みんなはどこに行ったの?
レリクはどこ?
いつも一緒にいるって約束したのに…。
そういって、アクアは立ち上がった。
「すごく、明るい場所。」
彼女の目の前には大きな庭園が広がっていた。
噴水もある。
少し、古い型だけとベンチもおしゃれな感じで置いている。
レトロの雰囲気が広がっている。
私はそこを歩いていった。
芝生がしっかりと刈ってあって、気持ちがいい。ここに横になりたいぐらい。
でも、ここがどこなのか分からないときは気が抜けない。
しかし、私はある異変に気が付いた。私って胸がこんなに大きかったけ?あの時はまだそこまでではなかったように思う。
そのとき、一羽の鳥が飛んできた。大きさはすごく小さい。私の手のひらに乗ってしまうぐらいに。その鳥はきれいな赤色をしていた。まるで、御伽噺の鳥みたい。
パサパサ
その鳥は私の目の前で止まった。しかし、この鳥は何かに乗っていた。
この獣は…。
私は後ろへとんだ。
もし、あの獣が本物ならあの鳥も…。
私は思ったよりもとんでしまったことに驚いてしまった。
「何これ?」
私はうまく着地することができずに転んでしまった。でも、あの獣が襲ってくることはなかった。私を無視するように後ろに向いてしまう。あの鳥も獣の肩に乗っている。どうやら、仲がいいらしい。でも、冷静に見てみるとその獣の大きさも普通の犬とはまったく変わりないぐらいの大きさだった。毛は真っ白だ。目の色だけは緑の色だった。
後ろに向いた獣は歩いていった。しかし、突然後ろを向いた。
「私について来いって?」
その声に呼応するかの獣は歩いていった。
「ちょっと待って。」
私は急いでついていった。
庭園を抜けると広い草原が広がっていた。
グルルル
ここを通るには勇気がいるようね。
私は気を引き締めた。
自然に獣の歩きが遅くなる。
それに鳥はくまなく、周りをキョロキョロとしている。
この動物たちがおびえるほどの何かがここにはあるらしい。
私たちは草原を歩いていった。
草は長く、私の腰まである。動物たちの姿もやっと見える。
私は周囲を警戒することよりも彼らについていくだけで精一杯だった。
しかし、彼らが警戒して起こることはなく、少し先に小さな家が見えた。
「あそこに向かっているの?」
私が彼らに訪ねると、頷いてくれた。コミュニケーションが取れて、私は思わず、うれしくなってしまった。
私たちは家に近づいていった。
「やっと、着いた。」
私はそう思わず、つぶやいてしまった。でも、かなりの距離を歩いたのに息も私は上がっていなかった。
少し、私の体に不安を覚えながらも私たちは家に近づいていく。
そのとき、
ズズズズズズ
気持ちが悪い、変な物体が草原の中から出現した。どうやら、骸骨のようにも見える。しかし、それは徐々に姿を変えていく。そして、私の知った顔が現れた。
「久しぶりだな。アクア。」
そういった彼はまったく変わっていなかった。あの時と同じように、私のそばにいてくれる彼だった。でも、何かが根本的に違う気がする。そう思いながらも、私は好きな人に会えたことで、思わず近づいていこうとした。
でも、動物たちは彼に向かって、明らかな敵意を向けていた。
グルルルル
そういって獣は全身の毛を逆撫でながら、威嚇している。
鳥は彼から目線を離そうとしない。まるで、今まで彼を警戒していたかのように…。
「おい、アクア。なんだ?この動物たち?」
彼はそういって私に近づいてくる。
私は彼を擁護するように言った
「彼は大丈夫よ。安心して。」
そうは言ってみたけど、効果はなかった。
「すまないが、彼女に話がある。そこをどいてくれ。」
そういって、彼はどこからともなく槍を出した。
「え?」
どういうこと?彼はこんな人ではなかったはず…。何かがおかしい。何かが…。
彼は急に走り出し、動物たちを殺そうとした。
「やめて。」
私はそう叫んだ。
しかし、彼はなぜか後ろに吹き飛ばされ、
「グアアアアア」
そういって消えていった。
私が後ろを見てみると、知らない男の人が立っていた。その人は真っ赤な目をしており、私の目からどう見ても犯罪者のようにしか見ることができなかった。
服はそうでもなく、いや、どこかの皇帝や王様が着ているような派手なスーツを身にまとっていた。彼は私がしゃべるより先に言い出した。
「危なかった。君はどうやら、助かったらしい。ここ最近、ずっと一人だったから、正直飽き飽きしていたんだ。どうぞ。中に入ってくれ。外は危険だ。」
彼はそういってドアを開けた。それに反応するように動物たちは動いていく。
でも、私は警戒せねばならなかった。
「どうして?」
「何がだい?」
彼は首を傾げた。私が怒っている理由が理解できないらしい。
「レリクはいい人なのに…。」
私はそういって涙を浮かべてしまった。
彼は私に近づいてきた。
「近づかないで!」
私はそう叫んだ。
しかし、彼のほうが動きがすばやかった。
私の腕を簡単につかんでしまう。
「離して。」
私は言ったが、彼の力は強く、離してくれない。
「あれは本物ではない。」
彼はそういった。
「何言ってるの?彼は本物だった。声も体も性格も…。」
でも
「どこか違っていた…。そうではないかな?」
どうして、それを…。
私が質問する前に彼は言った。
「その疑問に私は答えることができる。そのためにも家の中に入ってきてくれないか?ここは本当に危険な場所だ。ここにいては安心して離すこともできない。」
彼は本当に焦っているようだった。顔の表情が明らかに変わっている。
「分かった。でも、ちゃんと話してほしい。あと、私に変なことしないでね。」
そこで彼は顔を緩めた。
「分かった。では、家の中に行こう。」
「待って。自分で歩けるから…。腕を放して。」
「おっとすまない。久しぶりの客でおかしくなったようだ。許してくれ。」
彼は言ったが、実はそうは思っていない。ここから、早く離れたくてしょうがないらしい。
「別に…。」
私はそういって家の中に入っていった。