赤眼のレリク 第59話
~レリク視点~
「ウルゲイ、大丈夫か?」
「ああ、何とか…。レリク、いいタイミングで来てくれた。」
どうやら、大丈夫みたいだが、状況はテディーの言うとおり、あまりよろしくないらしい。
ズゥゥゥゥン
バハムートが地面にたたきつけられた。同時に町の家も残骸となっていく。ここまでの被害となっては…
「フェニックス、少し時間を稼げ。」
「生態探査」
ギオオオオオオ
バハムートが起き上がってきた。奴の全身を見るに少しは怪我をしているらしい。前の戦いとはちょっとばかり俺たちが有利に運べるだろう。それに今はアクアもいない。回復すのは不可能だ。
キュイイイイ
フェニックスが攻撃を仕掛けにバハムートへと向かっていく。俺はその間の中で比較的被害の少ない家に飛び降りた。バハムートと戦いながら、「生態探査」をするのは無理がある。ここは少しの間、フェニックスに任せたほうがいい。
俺はそう判断し、「生態探査」を続けた。
「これはどういうことだ?」
この辺には人間の気配があんまり感じることはできない。少なくともここには5万ぐらいの人口はいたはずだ。
ギオオオオオ
キュイイイイ
二つの召喚獣は熾烈な空中戦を繰り広げている。今のところ、バハムートが破壊光線を放つことはないようだ。それよりもフェニックスが連続攻撃を仕掛けているせいで、エネルギーをためる時間がないらしい。
そう思っているとまたテディーからの連絡が来た。
「これは旧首都ウルゲイにいる全員に話しかけている。民の全員の避難を今確認した。全員、各自避難するように。報告は以上。」
彼が伝達を遮る前に俺はテディーに確認することにした。
「今、探査を行ったが、生きている人はほとんどいない。」
「そうか、レリク。こちらには3万5千人が避難している。残念ながら、ほかのものたちは死んだと考えてもいい。」
「そんなに…。いったい何があった?」
「短絡的な説明で申し訳ないが、俺たちは奇襲にあった。しかも、いきなりバハムートであったために、結界術を行使したが、大半のものはそれに間に合わなかったのだろう。しかし、あらかじめウルゲイ殿が脱出経路を用意してくださったおかげで、被害は最小限に抑えられた。」
「大体、状況はわかった。すまないが、俺はバハムートを倒す。町はだいぶ破壊されてしまうとウルゲイに報告してくれ。」
「わかった。」
「後、アクアは見つかったのか?」
「こちらで探している。俺たちのほうにもかなり人員は割かれているが、こっちの避難所にアクアの姿はなかった。おそらく、まだそっちにいるのではないか?」
「そうか…。わかった。そっちにロスとラリアがいくはずだ。よろしく頼むぞ。」
「わかった。死ぬなよ。レリク。」
「わかっている。」
俺は彼との通信を遮断した。ここからは俺も全力でいかせてもらう。
ズゴゴゴゴゴ
「くっ…。」
空中で巨大な爆発があった。
どうやら、破壊光線とフェニックスの火炎が同時にあたったようだ。
町が爆風で破壊されていく。
「炎網」
俺は後ろにいるであろう人たちを守るために炎を作った。