赤眼のレリク 第57話
~ウルゲイ視点~
「全員、配置についたか?」
「はい。」
そう答えた若者はかなり若い。
まだ、12歳を超えているようには見えない。
「君は逃げてもいいのだぞ。それに戦える年齢ではあるまい?」
彼は少し考えたようだ。しかし、俺の予想は遥かに超えた大人の反応が返ってきた
「人を助けるのに年齢は関係ありますか?家族を守るのに年齢制限はありますか?」
なんと純粋な目をしているのだろう。なあ、レリク、お前はアクアを倒すのはおまえ自身だと答えた。しかし、誰かに託してもいい。私はそう思うぞ。
「ない。すまない。存分に働いてくれ。」
「はい。」
「全員に伝えろ。連続攻撃であの化け物の動きを止めるぞ。」
私は術を準備した。
ギオオオオオオオオオオ
バハムートが体勢を戻してこっちへと向かってきた。相当お怒りのようだな。
「全員には伝わったか?」
「はい。」
「構えろ。」
「封印術・極」
広範囲にわたって、バハムートの動きを止めようとする。しかし、わざと左に軌道をずらした。
その動きを察知した、バハムートは左へと避けた。
「今だ。」
「「「「「「「「「「「「「「シールド」」」」」」」」」」」」」」
その動きに合わせて、その先に壁を作る。
ドコッ
メキメキ
シールドが音を立てる。
ギオオオ
壁に当たって、バハムートは完全にバランスを崩した。
バハムートが落ちていく。
「さあ、落ちろ。化け物。」
ギュオオオオ
「あれは、あのときの。全員、避けろ。」
ズゴゴゴゴゴ
どうやら、悔し紛れに破壊光線を放ったらしい。バランスが悪かったせいか、私の後ろへと逸れていった。
「すかさず術を仕掛けろ。」
おそらく、何十人かはあの爆発に巻き込まれただろう。しかし、悲しんでいる暇なんてない。
「「「「「「「「「「「「穴」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「水溜」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「沼」」」」」」」」」」」」
術の合成は範囲が大きくなるほど、莫大な術エネルギーを使用することになる。それは二つの系統を作り出す量が多くなってしまうからだ。しかし、それが初めからあったのならば術エネルギーの量は格段に少なくなる。
今回はモンスターの生け捕りを目的とした「沼」だ。強さも桁外れだが、その大きさ自体もかなりの大きさだ。
反対に一部でも沼に浸かってしまえば、動きが限定されることになる。
私たちはそれを利用した。
ボチャアア
バハムートが落ちたことで泥水が盛大に散る。
ギオオオオオ
どうやら、嵌ったらしい。
「矢を放て。」
そこにあらかじめ準備していた弓矢兵が襲い掛かる。
しかし、当たっても跳ね返るだけで効果がまったくない。
その中に一本だけ刺さっている弓矢があった。
「どうしてあれだけ?」
よく見てみると鱗と鱗の間に刺さっているようだ。伝説の怪物といえども、弱点はあるらしいな。
「今だ、鱗の隙間を狙え。そこが弱点だ。」
「ウオオオオオオオオオオオ」
私の後ろ待ち構えた兵と弓矢の後ろにいた兵が突撃を開始した。
ここからは肉弾戦だ。
「術の行使を続けろ、バハムートを逃がすな。」
「はいっ。」