赤眼のレリク 第53話
~レリク視点~
ようやく寝たか…。
ロスの不安はよくわかる。
確かに剣はラリアよりも強いのかもしれないが、必要なのは術の強さだ。こればかりは俺だけではどうにもならない。それはロスも知っている。しかし、本当に必要なのはそんなものではない。ラリアはそれを持っていない。それこそが彼をもっと強くさせる。それだけは間違いないだろう。
しかし、このタイミングで大きなことを犯して何の得になるのかよくわからない。予想が正しければ、彼女は世界的な犯罪者になるだろう。今まではそうは見られていないが、町がつぶされてはそうもいってられないはずだ。それにギルドのこともある。
親父が何か知っているのか?しかし、それは何を意味するか今のところはっきりしない。
そんなことを考えているとラリアが近づいていてきた。
「交代よ。次は赤眼の番。」
「ああ。わかった。でも、その呼び方はやめてくれないか、ラリア。それはあだ名で、俺にはレリクという名前がある。みんなそっちで呼んでくれているから、そっちのほうがしっくりくる。お前もそう呼んでほしい。」
「そう?私にはそっちのほうがしっくりくると思うわよ。」
どうやらこいつにはわかってもらえなかったらしい。
「まあ、いい。早く寝ろ。あっちについたら何かあるかはわからない。」
「それぐらい私もわかってる。それに借りは返さなくてはならないしね。」
「借り?何の話だ?」
「いや、こっちの話よ。それよりもアクアのことはどうするの?あなたはアクアを殺したら、それで終わり?」
俺はラリアの顔を見つめた。
「どうやら愚問だったようね。あなたのことが少しわかった気がする。」
「まあ、いいさ。俺は見張りにいって来る。」
だから、俺は女が苦手なんだよな。