赤眼のレリク 第49話
~旧首都ウルゲイ~
ギオオオオオオオ
「これは一体…?」
「遅かったか…。」
俺たちの目の前に見えるのは旧首都のウルゲイの町だった。もちろん、燃えている。街が燃えている。何回も見たことはあるが、嫌な感じだ。あの召喚獣と背中に乗っている者はよく知っているやつだった。ここまでやるとは…。俺が思っていた以上に状況はよくないらしい。だが、俺は戻ることができない。あのときのお前の表情を俺は覚えているぞ。何をお前が俺に求めているのか…。そして、何をすべきなのか…。
~二日前~
俺たちは無言で旧首都へと向かっている。
ラリアには説明不足なのはしょうがない。
ラリアは怒っている。それは当然だと思う。しかし、このペースについてこられるとはこいつも只者ではない。
ロスも俺の行動を容認しているらしい。あいつにとっては珍しいことだ。
今は戻ることが先決だ。
「さて、いい加減話してくれるんでしょうね。ここまで来るのにも無言だし、答えてくないし。ここどこだか分かんないし。」
グダグダ……
ロスが目で合図してくる。俺だってわかってはいるのだが…。ラリアは女だ。確かに傭兵には少ないほうかもしれないが確かにいることはいる。しかし、彼女ぐらいのレベルの人はいない。高根の花と言ってはそれまでかもしれないが…、反対に負けず嫌いというか…高慢になってしまった。
ということで、一回へそを曲げると少し大変なことになる。特に小言を言っている今は非常にまずい。言ったら、5倍になって帰ってくる。俺はどう切り出そうか迷っていた。
「言わないんだったら、無理やり吐かせるよ。」
こわ~~。目が死んでるぜ。こいつ…。
「やばいですよ…。レリクさん…。それに僕もここまで急いでいるのか聞きたいです。しかも、僕が彼女の胸を触ろうとしていたこともはっきり覚えているらしいですし…。」
そう言われても、俺にどうしろと…。それに後半は俺のせいではないぞ。ロスめ。俺にすべての責任をなすりつけようとしているな。こういった場面はあまり得意ではないんだよ。
「さあ、話はするの?しないの?どっちかな…。」
俺が切り出すか…。
「まあ、座れよ。ラリア。たっていては話もできないだろう?そろそろ、休憩地点があるはずだ。おそらくだが…。」
「そこですべて話してくれる?」
「あ、ああ…。ある程度までなら話せる。ある程度ショックを受けるかもしれないぞ。それは覚悟していてくれ。しかしな、お前にまずは聞きたいことがあるんだ。これは重要なことだ。」
「聞きたいこと?」
「今日は何日か知っているか?」
「はあ?いいけど○月○日でしょ?」
やはり、彼女の頭からは操られている期間の記憶がなくなっている。1週間前、彼女は何らかの形でアクアに会い、術をかけられた。そう考えて違いない。では今でもアクアはウルゲイにいると考えていい。俺たちをウルゲイから出すために嘘の噂を流し、ラリアに術をかけて襲わせた。ラリアをつけさせたのはおそらく面識があるということを踏まえてだろう。状況から考えて、アクアはラリアを仲間にすると踏んでいた。油断したすきに襲わせる。そういった手はずだったはず…。まあ、しかし、ラリアが風貌と違った性格をしていてくれてよかったと思う。もし、見抜いていなかったら、俺たちはウルゲイに帰るのがかなり遅れていたはずだ。それにしてもラリアがそう簡単にかかるとは思えないだが…。何かしら、術を施している可能性もある。
「何を黙っているの。早く答えなさい。」
彼女の周りが冷たくなってきた。徐々に砂が彼女の周りへと集まっていくこれは地雷を踏んだのかもしれない。
「ま、まてよ。そんなに怒らなくてもいいだろ。説明するからよ。休憩場所に着いたらな。」
「だったら早くしなさい。」
「だから、彼氏がいつまでたってもできないのですよ。」
それはいったら、駄目だって。ほら、やばいくらい怒っているよ。どうしてくれるのかな。ロス君?
………
その後、休憩場所についたら、早速ラリアから尋ねてきた。
「さて、ついたわよ。早く説明してちょうだい。」
俺は詳しく説明した。
俺の予想も一緒に説明した。
少し意外だったらしく、かなり思案しているようだったが、一定の理解を得られたらしい。ロスへの誤解は…行動そのものは理解しがたいらしかったらしいが…。それよりも、自分よりも強い女性がいることが悔しいらしい。気持ちはなんとなくわからなくもないが…。
「結局はこうなるのですか?早くといてくださいよ。」
ロスは早くも彼女の砂の餌食になっている。砂漠では彼女のほうが有利のであるのは変わりない。ロスでは彼女には勝てないだろう。
「黙りなさい。もやし。」
「ロスのことはいい。それよりも気絶される前のことを覚えていないか?」
「そういえば何か女の人が出入りしたような気がする。でも、いくらでもいるし、これと言って変わった人がいたわけではないと思う。もし、私が術にかけられたとしたら、寝ているときしかないと思う。それでも、普段の私とは変わっていなかったかしら?」
変わっていても、それを言ったら殺されるかもしれないだろ。お前の性格上。俺は何とかそれを言うのを堪えた。
「それはいいとしても、なんでこんなに急ぐ必要があるのですか?通った道とは言え、3日で行くのはどうかと思ってますよ。そろそろ理由を聞かせてください。」
ロスの周りは砂がある。どうやら聞き取れなかったらしい。
「分かっているかと思うが、今回の罠は俺たちを倒すことではない。俺たちをウルゲイから遠ざけることにあった。ウルゲイを狙う理由はおそらく仇打ちとかそういったものだけではないように思う。何かあそこに隠されているのだと思う。そうでないとしたら何かしら施設があるかということ。」
「何かの施設?一体何があるというの?」
「それが分かれば苦労はしない。しかし、あるとすればダーク・デビルに関する施設だろう。それしか考えられない。」
「だとしたら、急がないと…。」
「急いだからといって何が変わるわけでもない。もう十分急いでいる。今日はもう休んだほうがいい。明日には何かあるかもしれない。俺たちは後手に回っている。アクアがすんなり通してくれるとは思わないことだ。どちらにしてもおそらく明後日の昼ごろには着くはずだ。その時にはちゃんと行動できるようにするんだ。臨戦態勢を取れるようにな。」
ラリアは少し疑問に思ったらしい。
「赤眼に聞くのもおかしな話しかもしれないけど…。」
「何だ?」
「私にはどうしてもあなたより強い人を私は見たことがない。少なくとも負けるとはどう考えても思えないのだけど…。」
俺はその質問そのもの疑問を感じた。
ラリアも俺のうわさは聞いているかもしれない。しかし、同じ任務をしたことはほとんどないはずだ。どうして俺のことを知っているのか、気になった。アクアに操られているわけではないはずだし…。
「もうすでに一回は負けている。何回かは逃したよ。」
「あなたが?」
「ああ、そうだ。お前は俺のことをどう考えているのか知らないが、俺は完全に敗北したこともある。お前が思っている以上にあいつは頭がよく、そして、何より強い。俺一人では今のところ、負ける可能性が高い。」
ラリアは驚いた顔をした。