赤眼のレリク 第47話
~翌日・洞窟内にて~
「よく寝ていましたね。」
「ああ、俺たちは2日も歩き続けていたからな。」
「本当に疲れて当然ですよ、ラリアさん。」
彼女は曖昧な笑みを浮かべている。
どうやら、あたりみたいだな。
俺たちは頷きあった。
「もうここら辺でいいでしょう。ラリアさん、いえ、アクアさん。」
「俺もそう思うぞ。アクア、どんなに隠してもばれるぞ。」
「ふふっ。いつから?」
「はじめからに決まっているだろう。」
「あなたはどこからラリアを操っているのです?」
まあ、答えてはくれないだろうな。
バン
急に彼女が砂漠に手をついた。
「レリクさん。どうやら彼女は完全に操っているようです。」
「そうみたいだな。下がるぞ。」
ブワッ
砂が急に俺たちの視界を遮った。
「砂塵」
「強炎」
「雷弾」
ドシュウ
俺たちの二つの技が砂へと吸い込まれていく。
しかし、
パアアアアアン
すべてのダメージは受け切れないようだな。
「ここまでとは思わなかった。」
「それは地の利が彼女にあるからですよ。普通ではこんなに簡単にいくことはないです。」
彼女の能力は土系統で間違いない。砂を使うところから見て、普通の術ではないようだ。どうやら、彼女は思った以上にやり手らしい。しかし、負けてやるわけにはいかない。
「さて、どうしましょうか?僕たち、結構相性がよくないですよ。土系統には…。」
「そうだな。このままでは埒があかない。しかし、アクアの本体が気になるところだ。もし、氷も使えるとなると俺たちはかなり不利でないか?」
「もちろん、それを確認してもらいたい部分もあったのですが…。彼女は土系統を中心に術を組み立てていました。」
「そうだとすると、使えないと考えるのが普通か。」
それを確かめてやる。
「フレイムバーニング」
空気を直接暖める技だ。もし、ラリアが氷が使えるとしたら、この熱気に対して、氷を使ってくるはずだ。
「砂煙」
ボッシュー
「目暗ましですか?僕には効きませんよ。」
「小雨」
ロスの周りから水が上へと上がっていき、ミスト状になって煙に降り注ぐ。
「馬鹿。」
「え?」
俺の放った熱気が水とぶつかる。
「炎上網」
ドッカーーーーン
水が爆発した。急激に熱されると水は水素を含んでおり、爆発してしまう
「お前、俺を殺すきか。」
「すみません。」
「砂時雨」
さっきの爆発によって、大量に舞い上がった砂を利用し、それを雨のように降らせ、俺たちを埋めてしまうようだ。しかし、これはかなり広範囲だ。それに「炎上網」はもう解けてしまっている。それに風系統を使ってしまうとまた、砂が舞い上がってしまいさっきの二の舞になる。ならば、
「ロス、いくぞ。」
「はい。」
俺たちはラリアへ向かって走っていった。
「遅いわよ。砂が積もるほうが早い。」
「それはどうかな?」
「風が止んだ?どうし…。くっ…。」
ロスがラリアの真正面から切りかかった。
「よくやった。」
「解除」
「何か仕掛けがあるみたいね。」
「そうやすやすとはやられません。ハアアア。」
キィイン、
どうやら、体術もラリアのようにしか使えないらしい。
ロスが力でラリアを飛ばした。
「キャッ。」
「ラリアは接近戦が苦手ですからね。そこは逃しませんよ。」
体勢が崩れたところに再び、ロスが切りかかっていく。
「んっ、これは…。」
ギャキィィィン
反対にロスのほうが剣を飛ばされしまった。
「くっ、」
「さがれ、ロス。」
「炎玉」
「何あれは?」
太陽に見せかけて、俺は上空の高温の炎を作っていた。それによって、空気が熱され回りの空気が温められ、上昇気流へと変わる。確かにラリアの術は土のように見えていたが、実際には風系統を中心に組まれていた。
「勝負があったようだな。アクア、借り物の体ではうまくいかないだろう?」
広範囲にわたる炎の固まりだ。今のアクアには防ぐことはできまい。
「まだよ。」
「砂弓」
ものすごい数の砂の矢だ。
「レリクさん、ここは僕が防ぎます。息を止めてください。」
「わかった。」
「水袋」
大量の水が俺たちを包んでいく。どうやら、これで砂の弓を止めるらしい。
その間にも炎は彼女へと近づいていく。
「間に合え。」
俺は水の中でそう願っていた。