赤眼のレリク 第46話
「さてと、何か気配がするな。」
起こすか?俺は正直迷った。相手がどんな奴かわからないということはすごく不安だ。というよりは起こしたほうがいいか。起きていたほうが逃げることもできるだろう。
「おきな。」
「どうしたのですか、レリクさん。」
「何か来るぞ。」
「ええ?何が来ますか?」
「分かるか!」
そういいながらも彼は服を着込んでいる。どうやら、もう冷えるような時間帯らしい。
しかし、モンスターではないように思える。感触ではだが…。ここまで来るようなモンスターはあまりいないはずだし、それにあのトカゲ以来一回もモンスターに遭遇していない。そう考えても分かることだ。こんなところに人が来ると考えにくいのも確か。もしかしたら、ウルゲイの手下かもとも思ったが、あいつがわざわざ俺たちを引きとめるようには思えない。自分のことぐらい自分でやるだろう。そうでなければ、俺たちにこんな任務を押し付けるはずもない。
どちらにしても、ここまでくれば腹をくくるしかないのは当然。彼女ではないことは確かだ。
「どなたですかね?」
「さあな。しかし、操られている可能性も否定できないな。」
「ええ、厄介な能力ですよね。」
「ああ、人をばかにしているとしか思えない。」
そういっている間にその誰かはここに来た。
「こんにちわ。久しぶりですね。」
「というよりはこんばんわだがな…。」
「ここで何をしているのか、聞いてもいいですか。」
どこかでみたことはある。もしかしたら、傭兵か?
「ええ。ウルゲイさんからの使いですよ。」
「そうか…。では伝えてもらおうか。」
「伝えるものなどありません。」
「そうかい。ラリア、君には帰ってもらいたいものだな。できれば、手荒なまねはしたくない。あくまで、レリクさん次第ですけどね。」
こいつが、ラリアか。俺にはあまりなじみのない顔だな。しかし、こいつがウルゲイの使いとはとても思えない。もし、使いなら俺たちよりも早くつくなんてことはありえないはずだ。
「いえ、あなたたちの援護。それをするように言われてきました。」
「ふむ、そういうことか…。」
「よろしいでしょうか?」
「ああ。まあ、構わないだろう。1人が2人に増えたところで何も変わらない。それよりもしっかりと援護をしてもらいたいところだ。ロスだけでは心もとなくてな。」
「そうですか、精いっぱい頑張らせていただきます。レリクさん。そしてロス。」
そういって彼女は笑顔を見せた。髪はショートでかなりの美形だ。いろんな人から声をかけられたことだろう。しかし、彼女のうわさと性格が全く違うような気がしている。
「彼女を知っていますか?」
ロスはそういって話しかけてきた。
「少しなら聞いたことがある。しかし、どうも彼女とは別人のように感じる。」
「僕もです。こんなやわらかい性格ではなかったはずですが…。様子を見てみますか?」
「まあ、そうしよう。彼女が本来の力を使ってくるとは今の様子からはとても思えない。それにお前と俺がいれば対処は十分にできるはずだ。」
「そうですね。僕はともかくレリクさんは大丈夫でしょう。」
そういって俺たちはラリアを含め、3人で行動することにした。
「それよりもラリア、俺たちは疲れているから番をしてくれ。」
「はい、分かりました。」
~簡易テント内にて~
「大丈夫ですか?彼女に守らせておいて?」
「大丈夫だ。今回は俺が彼女の見張りをする。お前は先に休め。それに対策はすでに打っている。ここでは、彼女は襲わないはずだ。」
「レリクさんがそういうのなら信じましょう。しかし、何かあったら起こしてくださいよ。」
「分かった。」
前に人を信用するなといったばかりなのに…。しかし、まあ、それがロスのいいところなのかもしれない。俺はこいつを守らなくてはならないな。
そう思いながら、俺は寝た振りをして、ラリアの監視をしていた。