赤眼のレリク 第44話
~ロス視点~
レリクさんは本当に強い。僕なんかでは到底、相手ならないだろう。どういう人生を歩いていたのかはあまり聞いたことがないけど、レリクさんが言うみたいに楽な人生を歩んできたとはとても思えない。僕でさえ、天才といわれてきた身だ。彼は天才の中の天才だ。それだけは間違っていないだろう。
僕に彼の手伝いができるのだろうか…。確かに水系統はあまり得意ではないにしろ、あそこまでの水は出すことができない。それに比べて、彼はどうだ?水以外ならほとんどそつなくこなすことができるように思う。さっきの技も僕の最大の技とそこまで変わることはなかったように思う。むしろ、術の使いどころは彼のほうがうまい。
僕は劣等感を感じずにはいられなかった。
~レリク視点~
炎天下の作業は疲れる。確かに食料がないとは言え、全くもって嫌な作業だ。熱いのが嫌いな俺は地獄みたいなことだ。皮をはいで肉を取り出す。こういった作業はそんなに手間はかからない特に大きいと楽だ。小さいと難しいからな。どちらにしてもギルドにいって必要な部位がどこに当たるのかよく見ないといけないのだが、今の状態では意味がない。荷物が増えるばっかりだ。
「何とかして入りませんかね?」
「馬鹿か?お前?」
「そう言わないでください。」
稼ぐときは少ない。それは傭兵や冒険者なら普通だ。能力がないものや運のないもの、そして裏切られる者。俺たちは常に後ろを気にしていなくてはいけない職業だ。自治隊や警察みたいな公的なものを除き、この職業では利用されることが多い。反対に一番に有効なものは名声。そういったものだ。それさえあれば、自分に不利な噂でも消されることが多い。信じあえる仲間がいればいいのだがそういった奴はごく少数だ。その中でこの一年を生きられる奴なんて限られている。どんなに強い奴だって死ぬときは死ぬ。それが普通だ。誰かに埋葬されることなんてめったにない。
「しかし、こんな大きいとは。何一つ持って行けれそうにないですね。」
「ああ。ほっとけ。何かが食っていくさ。」
それにしても、みる限り、砂漠砂漠砂漠砂漠…。もう飽きたな。このトカゲは食えることには食えるが、肉があまりに硬いし、量も見た目よりも少ない。俺とロスが食べて、余った肉はリュックに入るほどしかない。
それにしても日が陰りだしたな。もう少ししたら寒くなるだろう。砂漠というのは生きるのには難しいのはこの点だ。仮にここで生きるとしたら、ずいぶんと服が必要なうえに軽装な服も容易しておかなくてはならない。想像してみると、引っ越し作業みたいな感じになってしまうな。あくまで術を使わなくての話だが…。最近ではそれはずいぶんと緩和された。
「レリクさん。寒くなってきましたね。」
「ああ。寒くなってきそうだな。どこか休められそうなところがあればいいのだが…。俺はともかく、お前はきついだろう。」
「正直、寒いのは苦手でして…。足手まといになってしまいますが…。」
「それは前からだろう。気にしなくてもいい。」
「そういわれるのが本当にきついですよ。レリクさん。」