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赤眼のレリク 第30話
~任務にて~
~ロス視点~
「レリクさん。きついです。」
「泣き言言うな。まだ半分も終わってないぞ。」
これだから雑務はやる人が少ないのではないかと思った。考えてみたらここは球戯場だった。行ってみれば、庭とはいえないぐらいの芝が広がっている。これは術を使ってできることではない。雑草を伸ばすという簡易的な術があるが、新たな雑草まで無駄に増やしてしまう。それではきりがないことになる。しかし、レリクさんは一切不平を言わず、雑草を取っていた。この人の頭はおかしいと思うことも多々あるが、この姿を見ていると尊敬する。どんな仕事にも一生懸命にこなしている。皆そう言っているが実践している人は少ない。僕もそんなにまじめなほうではない。
そんなことを考えていると…。
「お二人さん、昼時だ。飯を作ったから食べよう。」
「ああ。分かった。行くぞ。ロス。」
「はい…。」
ああ、腰が痛い。
レリクさんは何もなかったかのように普通に立ち上がる。どんな仕事でも簡単に成し遂げる。それは普通の人ではできないことだ。
彼はやっぱりすごいなとそう思ってしまうのは僕だけだろうか。