赤眼のレリク 第22話
コオオオオ
徐々に俺の炎が押している。
これならいける。いけるが、相手はまだ充分な術エネルギーを持っている。どうして、この段階で負ける?
「くっ、水球。」
彼女は全身を水でバリアし、何とか俺の攻撃を防ぎきったようだ。
しかし、こっちも、
「ハアハア…。くそ。術エネルギーが切れ掛かっている。」
「ぐぬぬぬ。」
アクアの顔が青ざめていく。
彼女の身に何が、しかし、拘束するには今しかない。
「貴様、まだこんな力を…。」
「何、お前は誰としゃべっている?」
アクアの頭がだらりと下がった。
「久しぶり、レー君。」
「そのあだ名、お前にしか呼ばれなかったな。」
「お願い、レー君、私の魂はあっちにいきそうになっている。その前に私を殺してお願い。」
「いったいどこの世界のことを言っている?俺たち住んでいるこの世界のことではないのか?」
「違う…のよ、レー君…。私はダーク・デビルに…。ごめん。レー君。」
再び、アクアの頭が下がった。
「ちっ、あの女め、余計なことを…。」
俺は頭が混乱していた。今、ここで退治しているのは確かにアクアだ。術エネルギーの質風貌、そして、この強さと剣の使い方、まさにアクアだった。しかし、いま、彼女は「あの女」といった。それはいったいどういうことだ。宝石自体が意識や自我を持っているということなのか?だと、すればまだ、アクアは救うことができるはずだ。
「判断が鈍ったな、レリク。」
ヒュィイイイイイイイイイ
くそ、またあの破壊光線をする気か。
しかも、この量だと後ろにいるやつ等まで。
「フェニックス、奥の手だ。」
本当はこんなところで使いたくはなかったが、しょうがない。
「陽炎」
これは俺の炎を媒体にして、フェニックスが冥界へ対象物を転移させるものだ。それはどんなものでもというわけにはいかない。たとえば、生きている人間や生物は送ることができない。道具類や術などがその対象になる。
スゥゥゥゥ
光線とともにフェニックスが消えた。
「粉塵」
くそ、煙幕か
俺が煙をまいた時には彼女の姿はなかった。
しかし、希望の光が見えた。
その瞬間、自分の体がぶれた。
限界のようだな。
そして、俺は意識を失った。
これが彼女との二回目の戦いだった。