赤眼のレリク 第20話
~レリク視点~
~ガーネット山 ダンジョン内~
「炎王」
「何、その技?」
「見ればわかるだろ?」
炎を変化させ、自分の鎧として機能させる技だ。本来なら、自分が焼けてしまうところだが、俺には炎には耐性があるため、やけどすることはない。
「ふ~ん…。昔とは確かに違うみたいね。私もそんなに成長していないわけではないのよ。」
「氷剣」
アクアは氷の剣を作った。しかし、何だ?この術エネルギーの量は?普通の氷の剣とは一味違うようだ。
「そんなに簡単に勝てるとは思ってないわよね?私もちゃんと修行しているのよ。目的の達成のために…。まあ、一度は防がれたのだけどね。」
防がれただと?いったい誰に?
「そいつの名前は?」
「もう忘れちゃった。ごめんね。レリク。」
…こいつに限って忘れるなんてことはない。
「まあ、話はここまでにしようか。行くぞ。」
キィン
スピードではあまり差がないらしい。
「!!!!」
パキパキ
俺の槍が凍っていく。
「わかったかしら。一度でも斬られれば、あなたの負けよ。」
「くっ…」
ガス
俺は凍っていく槍をそのまま地面に刺し、それを軸に回し蹴りを放った。
ガッ
ズザザザ
アクアがその衝撃に負け、後ろへ弾かれた。
「炎槍」
前よりも格段に強化されている。
術エネルギーだけではなく、木の宝石だからここまでできるようになった。
スッ
氷の術が解けたらしい。
こっちもこの技で行かないと斬りあうこともできないな。
ザッ
気がつくとアクアが目の前に来ていた。
キィン
「どうやら対処法を見つけたようね。」
「ああ。そう簡単には負けない。」
「炎玉」
「水泡」
俺の炎の玉は少し違う。
生態探査を利用して対象物を追尾する。
しかし、彼女の水と相殺されてしまう。
ピカッ
「くっ…。」
「きゃっ…。」
水と火熱量によって時折、爆発が起こることがある。
「炎網」
炎のエネルギーを吸収し、それを広範囲にわたって防御する技だ。
「くそ、あれが相殺されるとは…。このままでは作戦まで術エネルギーが持つかどうか…。」
ゴオオオオオ
前方では炎が燃えている。彼女の生態反応は感じられる。やったか?
「空氷」
パキィィィィン
一瞬にして炎を打ち消し、俺の「炎網」までなくし、彼女の周りはすでに凍り始めている。
どうやら、俺が火を吸収したおかげで、衝撃が弱まり、ダンジョンの崩壊は避けられたようだ。しかも、アクアの術で土が固まり、溶け出した土がそのまま凍ったようだ。
「やってくれたわね。こっちも全力で行くわ。」
「重緑」
ズズズ
たくさんの蔓がアクアの体に巻きついていく。
「雷鳴」
キーーーーン
蔓が一瞬にして砕け、何かが俺に迫ってきた。
ビリビリ
これは…!
キィィィン
くそ、雷を超音波に変えたのか…。
耳が聞こえない。
生態…
「遅いわ。」
アクアが俺の後ろに回りこんできた。
「土塁」
俺の背中に土の壁を作った。
ガス
アクアの剣が土塁刺さった音が聞こえる。
俺はその間にアクアと距離をとった。
どうやら、左耳がまだ聞こえにくいが、三半規管までは麻痺しなかったようだ。
バコッ
アクアはいとも簡単に土の壁を壊した。
「術の強さ、タイミング、あなたは本当に強くなったわね。」
「もう昔の俺ではないからな…。」
メラメラ
俺の腕が反応し始めている。どうやら時間稼ぎはできたみたいだな。
「!!いったい、この熱気は?」
「アクア、俺も馬鹿じゃないからな、ここにある火薬を使わない手はないだろう。」
「そういうことね。」
「かまい…!」
「炎玉」
「氷壁」
俺の炎が氷を溶かしていく。
「逃がしはしない。」
「ちっ。」
「俺は死なない。だが、お前には耐性がないだろう。これで終わりだ。」
「レリク!!!」
「溶解」
ピカッ
大量の火薬が爆破した。