赤眼のレリク 第19話
~ウルゲイ視点~
ロスの話が本当なら…レリクの相手はアクアで間違いないだろう。彼女は何を狙っている?確かにレリクを離すためにはこの方法が一番よいかもしれない。だが、彼女はそんなことをしなくても、騎士1千人ぐらいならわけないはずだ。
「わかった。ロス。下がっていい。後はここで待機だ。お前は休んでいろ。」
「はい。」
そういって、ロスは下がっていった。苦虫をかんだような顔しながら。
「えーと、私はどうしたら?」
「全員に戦闘体制をとるように伝えてくれ。一応、騎士200人が待機しているだろう?頼む。」
「わかりました…。」
何か聞きたそうな顔しているな。
「どうした?何かあるか?」
「いえ、ロスと親しい間柄だったようですね。あんな顔したロスは始めてみましたよ。」
「知り合いといってもどちらかといえば憎まれるな感じだ。」
「そうなのですか。彼は僕らの中でも注目の的でしたから。」
そうだ。この国はある程度、血統がよくないと騎士にはなれないのだ。しかし、ロスはそれを遥かに凌駕する才能と強さ、そして、優しさを持っていた。上は彼を騎士として登用することを渋っていたが、騎士の人数や錬度の低さが著しく劣っていたため、平民にまで登用する法律を制定し、彼を登用した。彼を登用するために態々法律を作ったのだ。彼は平民のわずかながらの希望を与えた存在だった。しかし、それを疎ましく思ったやつら、あの事件を引き起こすことになる。
「それ以上は聞くな。お前はまだ、早い。」
「わかっています。しかし、彼はあなたを憎んでいるようには思えませんでした。」
「そうか…?憎しみの目で見たように思っていたが…。」
「それは違います。あなたを憎んでいるのではありません。彼は僕たちを憎んでいるのです。」
「……そうかもしれないな。」
こいつが言うのなら間違いはないだろう。人を見抜く目は俺なんかよりもずっと優れている。
「では、行ってまいります。」
「ああ、頼…!!!」
ズズズーーーーーン
グラグラ
レリク、お前いったい何をしたんだ?