赤眼のレリク 第16話
~テディー&ロス視点~
~ダンジョン内~
あれから1分後。
ズズン
ギィィィン
遠くからでも二人が戦っている音が響いている。トンネル型のダンジョンだから当然共鳴したりすることもあるだろうが、それだけではないだろう。あいつらはかなり規格外だから。
しかし、息が上がる。想像以上に年をとったな。俺も。ここら辺が本当に潮時だな。
「ハア…ハア…」
「大丈夫ですか?テディーさん」
「少し、術エネルギーを使いすぎたようだ。」
「あともう少しのはずです。急ぎましょう。」
「そういえば、どうして俺の雷の攻撃が効かなかったんだ?レリクには対策を練らせていたからわかったはずだが…。」
「へへっ。それは秘密ですよ。」
「ふん…。まあ、いい。お前はセンスがあるな。このまま、脱走兵として終わるのか?」
「よくご存知で。僕は少し国のことにかかわってしまいましてね。あるとき、暗殺されそうになったんですよ。」
暗殺。国にはそういった物騒な部隊がいることはよく知っている。しかし、軍内部で暗殺するということになるとかなりのことを知ってしまったのだろう。
「テディーさん…、軍内部には気をつけてください。どこに何があるかわかりません。あなたが私と同じような過ちを犯すとは思いませんが、僕が生き残れたのはある一人の国の兵士でした。彼は強かった。そして、僕をここまで育ててくれたのです。いろいろなことに参加させられたりしましたがね。あの時は国を恨んでいましたが、でも、彼と一緒にいるようになって考え方が変わったように思います。」
「それは誰か聞かないでおこう。しかし、お前もいろいろあったみたいだな。生きていてよかったと思うよ。助けてありがとうな。」
「…少し照れますね。人にあまり褒められたことないですから。」
「そうか…。」
少しの間が空いて、前方に光が見えた。
「どうやら、間に合ったみたいだな。」
「そうですね。急ぎましょう。」
俺たちはダンジョンから飛び出した。
「どうした。いったい何があった?」
話しかけてきたのは入り口を守っていた3人の騎士だった。
「今すぐに隊長に連絡を。騎士は全滅、傭兵は俺とここにいるロス、そして今、中で交戦しているレリクの三名が生存。レリクの相手はS級犯罪者「アクア」と思われる。火薬は彼女によって壊されてしまったが、レリクに何か作戦がある模様。すぐにここから退去するようにということだ。」
「わかった。隊長にお伝えする。お前たち二人はテディーとロスを保護して、救護班のところ連れて行ってくれ。」
そういって一人の騎士は走っていった。ここにはもう連絡役は残していないだろう。
「早く退去しないと…。」
「わかっています。ロスさん。すでに爆破時間を過ぎているので私たちの3名しか爆破圏内にはおりません。全員退去がすでに完了しています。しかし、こんな事態になるなんて…。テディーさんに肩を貸してあげてくれ。かなり弱っている。ロスさんも傷があります。救護班のところまで案内します。」
「僕はレリクさんを…。」
「おいっ、ロス。」
「すみませんが、今のあなたにはどうすることもできないと思います。」
二人の騎士がロスの前に立った。
「そこをどけ。」
「それはできません。今行ったところで戦いに参加できるとはとても思えません。それにあなたはレリクさんの実力をご存知のはずです。さすがに我々もあなたの行動に冷静を書いているとしか思えません。」
「くっ…。」
「ロス。」
そういって、テディーがロスの肩に手を置いた。
「テディーさん…。」
騎士の二人が歩き出した。
「行きましょう。こっちです。」