赤眼のレリク 第14話
「ふ~ん…。何か隠しているかと思ったんだけど…。ここじゃ使えないみたいだね。フィールドの影響かもしれないけど…。彼を呼びだすにはもう十分。その体ももうすぐに限界が来るでしょう?悪いけど気絶してもらうわよ。彼との邪魔はしてもらいたくないから。」
くそっ。この俺が2分も持たないとは…。
彼女はぞっとするくらいよい笑顔を俺に向けている。しかし、ここで気絶するわけにはいかない。そう奮い立たせた。そして自分にある術を最大限まで高めた。自分の迫りくる剣の突きが遅く感じる。
俺はそれを難なくよけ、彼女の首を狙って剣を振るった。
しかし、彼女はそれをかわし、後ろに下がった。
「あれ?今ので終わりと思ったのに…。まだ持つんだ。その体。」
俺は瞬時に彼女との間合いをつめ、本能の赴くままに彼女の心臓めがけて剣を突き出す。突きは払いと違ってあたりにくいが、ガードしにくいというのも特徴の一つだ。彼女はとっさの反撃に反応しきれていない。俺は確実に彼女の心臓をついたつもりだった。
だが、俺の剣は彼女の体に触れることなくとまっている。前に突き出そうとしても体がまったく動かない。どうなっている?彼女はやれたはずだ。何かしたのか、幻術の類か?彼女ならできてもおかしくない。
「苦しそうだね。ふふ。」
どうやっても体が動かない。彼女が何かしたのか?
「簡単なことよ。あなた自分の脳に電気送ることで体の能力を活性化させていたのよね。」
あのわずかな戦いの中で見抜いたのか…。これでは、もう…。
「私の周りに少し電波を流してあげたの。そうしたらあなたは体がしびれて動けなくなってしまったというわけ。電気も微量ならいいかもしれないけど大量に流れたら体に毒だよね。自分で自分を苦しめるなんてかわいそうに。かなり正確な術コントロールが要求されるだけに使う相手には考えて使わないと。モンスターの生態探知ができる人が術の種類を見分けられないわけないじゃない。彼からよく聞いておくべきだったわね。忠告してももう遅いか。動けないみたいだし。それじゃ、気絶してもらおうかな?」
俺もどうやらここまでらしい。最後にここまで強い奴と会うと生きる気力もなくなる。運が悪かったのだと思ってしまう。レリク、お前なら勝てるかもしれないな。あのときよりもずいぶんと強くなった。
後は任せた。
俺は彼女の剣が自分の腹を突こうとしているのをゆっくりと見ていた。
ガキィィィィン
先ほど助けに入ろうとしてくれた傭兵の一人が彼女の剣を止めていた。
「彼はやらせない。」
「誰?君は?かなりカッコいいじゃない。それにずいぶんと若いわね。」
「僕の名前はロスです。以後よろしく。」
「でも、テディーって人よりは強くないみたいだね。」
「お前は早く逃げろ。この事態を外に知らせろ。」
彼はそれでも動こうとしなかった。彼女の剣を防ぐだけでもかなり力が要るはずなのに…。
「どうして、君はそこまで…。」
「もう、嫌なんです。目の前で知っている人が死ぬのは!」
後ろを見てみると大量のモンスターが死んでいた。彼以外には助かった者はいないようだ。彼以外では対抗できる者はいなかっただろう。彼一人があのモンスターたちを倒したことになる。彼はきっと俺以上に強くなるだろう。
彼は彼女の剣を弾き返し、彼女を切りかかったが、
彼女は後ろへ飛んでよけた。
「う~ん、あなたどこかで見たことがあるわね。いつだったかな?」
「僕は元騎士だ。」
「ああ~、あのときの子供?いや~、男の成長って早いわね。でも、あの時は私の慈悲で生きて帰られたのよ?それをわかっている?」
「ふざけないでくださいよ。あの時と僕はまったく違う。」
何を言っているんだ?この子は?
「そうね。ごめんね。そういう意味じゃないのよ。君と私との差が詰まってないということよ。前は面白うだから逃がしてあげたけど、今回は死んでもらうわよ。」
彼女の体がぶれて、ロスの前に現れた。
速い。
キィン
ガス
ロスの剣が弾かれてしまった。俺の目にはまったく見えなかった。もしかして、俺の戦いのときは本気じゃなかったのか。
「今回は邪魔されたくない気分なの。悪いけど死んでね。」
「くっ」
くそ、もう体が動かない。
「じゃあ、さよな…」
ガス
いきなり、ロスの目の前に緑の槍が落ちた。
「大丈夫か?ガキ。」
まったく遅いやつだ。