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デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇
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赤眼のレリク 第7話

~ギルド~


ギルド。そこは荒くれ者も多いが、その中には普通の人も交じっている。たとえば日雇いなどの人たちだ。引越し屋の手伝いや臨時店員とか…広い意味で今のハローワークに近いようなものである。だからいろいろな人が行き来している。小遣い稼ぎのためにきている騎士などもいる。どんな職業でもお金は必需品だ。最近では戦争なども起きていないので傭兵の稼ぎは少ないということができる。戦争なんてなくてもよいがないと困る輩もいるのは事実だ。腕っ節が強いために山賊が出ることも多くなってきた。普通の山賊とは違って商品や敵を確認して、また深追いなどは一切しないために捕まえるのは難しく騎士が出ることも多くなってきた。人間が平和を感じるときには必ず戦争がある。不思議なものだ。


所狭しと壁に張り紙がある。犯罪者のリスト、討伐対象のモンスター、求人案内、仕事のリスト、仕官への要綱などたくさんの張り紙がある。バツをつけられている奴は終わったものだ。古いものでは10年前のものもある。そこには俺の幼馴染の名前がある。彼女はどうしてしまったのだろう。それでも彼女を連れ戻そうとして何回も失敗した。改心してもらいたいと願っていたが、2年前よりも懸賞金が上がっている。2ケタも上がっているということはかなりの悪事をやったのだろう。俺はそのリストをとった。


「レリクさん。彼女は止めたほうがいいですよ。」

ロスがいつも間にか隣に来ていた。


「どうしてだ?」

「召喚師になったそうですよ。彼女。」


召喚師とは異生物を召喚する能力を持った人のことを指す。異生物といっても普通のモンスターとはちょっと違う。違うところは召喚師の言いなりになることだ。完全に使役された存在であるために召喚師の支配下に置かれることになる。だいたいは倒したモンスターを従えることができるが、一定のレベル超えるとそうではないモンスターも召喚できるようになる。しかし、それは能力によって差がありモンスターのレベルも異なる。今回の召喚師は複数のモンスターを召喚しており、またモンスターのレベルも高いということが戦って分かった。しかも、かなりの練習をしているらしくモンスター同士の連携がかなりいい。俺が追っている彼女はそこらへんにいる奴らじゃ相手にならない。俺が戦った2年前は戦争があった年だったが、彼女の犯行がかなり悪質で大量殺人それも殺されたのが騎士とあって討伐隊が派遣された。その1人に俺は入っていた。


「そうか…。」

「俺の親友は彼女に殺されました。当時は俺よりも強かった。彼と何回も任務を受けていましたが、召喚師としてだけなく術そのものもかなりの腕でした。未だに彼が彼女に負けたとは思えません。」

「分かった。彼女には手を出さないよ。」


ロスは俺に対して忠告してくれたのだろう。今回の任務も危険が多いから俺が欠けると士気が上がらないとでも思ったのだろうか?どちらにしてもあいつは俺が止めて見せる。あの昔の約束をあいつが覚えているはずだ。そうではない場合は…。


「どうしました?」

「いや、少し考え事していただけだ。」


ロスは少し不審な顔をしたが信じてくれたらしい。ロスの親友もあの討伐隊にいたのかもしれない。だとしたら可哀そうなことだが…。彼女は異端ともいえる能力を持っていた。


「ちょっといいか?レリク。」

「どうだ?モンスターは特定できたのか?」

「いや、それができなかったらしい。召喚師特有のモンスターで間違いないようだ。」

「そうなのか…。」


テディーが俺に話しかけてきた。表情は硬い。あまりいい方向に話が進まないらしい。どうせ騎士のことだからかなり無茶な要求をしたのだろう。


「いいにくい話だが、今、あのダンジョンを爆破するという計画が進められている。」


俺はそれを聞いただけで嫌な予感がした。爆破するということはあの先には国として何か隠したいものがあるということだ。爆破するのには火薬がいる。この世界では火薬はかなり高価なものだ。それは小型にする技術がまだないからだ。どうしても大型になってしまうと個人ではそう簡単に買うことができない。それに個人で使うこともめったにない。せいぜい戦争時に味方を巻き込んでの自爆か、今回のように炭坑やダンジョン、鉱山を封鎖するために使うことぐらいだ。炭鉱などはそのままにしてしまうとモンスターなどが生息してしまうこともあるし、子供たちが入ったりしてしまうのでこの世界ではとれない判断された時点で封鎖されることが多い。

今回はそう言ったわけではない。あのダンジョンはもうずっと前に宝石はとれなくなっている。しかし、初心者向けには分かりやすく単純なダンジョンだったためにずっと封鎖されずに未だに使われていたが、最近になって不幸な事件が続いたらしく今ではあまり使われていないということだった。


「嫌な予感がするな。国が関わっているとなるとずいぶん黒い影が見えてくるな。召喚師が只者ではないということか…。」

「ああ。やばいな。傭兵たちはどうだ?ほとんどのやつが断ったと思うが…。」

「言いたくはないがな。しょうがないことだ。命のほうが大事だからな。あいつらは国に忠誠を誓っていないのだから当然のことだ。」

「俺も降りる。国に関わるのはもうやめた。あのときのことをお前は覚えているはずだ。」

「すまないが、それは無理だ。レリク。今回ばかりはお前にも付き合ってもらいたい。」

「何?」

「俺たちには作戦をつきそってもらいたいということだ。国からそういう要請が出ているらしい。ギルドの長からそういわれたよ。お前に何かしたわけではないだろうな?」

「いろいろしてきたが、最近はほとんど任務を受けていないはずだ。受けたといっても雑用ばかりだし。其れになんだ?付き添いっていうのは?爆破現場を見てほしいとでも?」

「ああ。どうして分からないが。」


もしかしたら…。そう思ってならなかった。彼女が持っていた能力の中で優れていたのは探知の能力だ。探知というのは能力的には存在しないが、風と木、そして土それらを駆使することによって人や動物の行動を感知する。俺はそれを嫌と思うほどメンドクサイ能力だったと思ってしまう。どこかに隠れたとしても、俺の場合はエネルギーが強すぎるため、感知されやすい状況にあるといっていい。一度体勢を立て直そうにも感知されてしまえば、一瞬で相手に知られてしまう。俺にとっては厄介な術だ。仮にペースを握られたら一方的に終わってしまう。実際にモンスターはそういった能力や勘が人間よりもきくらしく、俺はそれで一度危うかったこともある。今となってはそれも防げるようにはなった。反対に乱してやることができるからだ。それに相手の位置さえ確認できれば、まだ対処の仕方がある。ただし、それもマラリスのおかげともいえる。国の狙いはおそらく俺と彼女だろう。あわよくばあれを取り戻しにくるに違いない。あまりに強い力は国そのものをつぶしかねない。反対に国はその能力をほしがっているのだ。


「様子を見ながら考えてみるよ。一緒には行く。ただし、1人で行動させてもらう。爆破にでも巻き込まれでもしたら最悪だからな。」

「分かったよ。上に掛け合ってみる。しかし、お前を殺すなんてそう簡単にできやしないと思うがね。」


そういって、テディーはギルドを出て行った。



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