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デビル・ジュエリー  作者: かかと
リオ・リチャード篇~第Ⅰ章~
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リオ・リチャード第1章最終話

両軍にわだかりか溶けあう中で2人は異様な雰囲気を醸し出していた。



もちろん、それは兄弟特有のものであるかもしれないし、これからのさらなる戦いへの幕開けともなろうこの戦いであることはまだ誰も知らないことだ。




しかし、そこの兵士たちはこの戦いで時代が変わっていくことを肌で感じていた。




2人にはそのようなことを感じることはできない。




「久しぶりだな。兄上。」

「そうだな。弟よ。立場ではお前が上になったな。」



2人は互いに眼で牽制し合う。



「将はいつも勝てるわけではない。それはお前がよく知っているだろう。」



テミールが言う。



「兄上が言っていることは正論だ。しかし、上が責任を取らなくて誰が責任をとる?今回、討伐を命じられたリオは自分から殿になった。これがどのような意味を持つかは兄上もよくわかっているはず。」



レミールは反論した。もう引き返すことは出来ないのだ。お互いに。



それが将軍、いや、上に立つ者としての自覚と責任なのだ。少なくともレミールはそう思っている。

自分だけがおめおめと逃げることがどうしてできよう。昔の自分を見ていれば、それはよくわかっている。



その自覚のない上官は確実に裏切りにあう。



テミールは弟の眼を見た。

奇行もよくする弟だったが、それは普通の者が言うだけであって、犯罪を犯しているわけでもないのだ。若干、示威活動がおかしいだけ。

責任感が強く、武力、行動力は弟は秀でていた。

それをよく嫉妬し、努力してここまで来た。

もしかしたら、俺もレミールに歪んだ感情を持っていたのかもしれない。





「わかっている。しかし、リオ王はそこまで気にしてはいないはず。現に俺だってこうして将軍職として扱ってもらっている。」

「それも承知の上。部下は投降したと聞いてどう思うかは別だよな。」



そういってレミールは愛馬を下りて剣を抜いた。



テミールも同じくして、愛馬を下りた。


そしてゆっくり剣を抜く。



愛馬は部下が回収していく。






レオンは2人を見ていた。


いずれは訪れるかもしれないリオへの試練。まず、第1関門は突破できた。だが、これからだ。この2人の勝敗によっては少し情勢も変わってくる。





2人は同じ構えで見つめ合う。


よく2人で稽古をしていた。


それだけに相手のことはよく知っている。


先手を出したのはレミールだった。


上から堂々と切りかかって来る。


普通はこんな戦法は使うことが出来ない。


テミールはそれを左へかわし、レミールの右のわき腹を狙う。しかし、それは避けられてしまう。


その原因は少なからず、彼への力強い攻撃に体が自然と委縮しているためだろう。


そして、それを避けたレミールは下からテミールの首筋を狙って、剣を繰り出す。



キィィン



甲高い音が響く。



それを受けたテミールは少し後退する。



力負けしている。それは認めなくてはいけないだろう。



レミールはそこの隙を狙い、距離を詰めてくる。





10分は戦いは拮抗していた。しかし、少しずつ、テミールがおしていた。

レミールの戦いは力と力のぶつかり合いを想定した戦い方だが、テミールは最小限の力で相手をかわし、返しの剣で相手を倒す。その二つの戦い型で体力の消耗が激しいのはレミールのほうだ。



徐々に剣の握りも弱くなり、彼の剣ははじかれ、上段からわき腹にかけて大きく切られた。



レミールは言葉には出さなかったかが、完全に負けたと思った。



テミールは踵を返した。


敗者には何も言わない。それが決闘の慣習だ。



だが、



「兄上、彼ら…は有能です。今は…まだ、疑心に…思うかもしれんが…。」


「分かった。」


「この国を託します。」




そういってレミール将軍は死んだ。



享年29歳。



武人として、そして将として有能だと言わしめた最後の戦いだった。




そして、この戦いは乱立し始めていた各国へ動揺が走る事件となった。



帝国が誇る2人の将軍が帝国から離れたことを意味したからだ。




その2ヶ月後。




リオは王としての地位に就き、国号をアリストとした。



齢18。



これから彼は激動の時代の覇者へと進化する。

これでⅠ章が終わりです。

Ⅱ章がいつになるかはわかりませんが、先にクレオール篇を進めてからまた書きだしたいと思っています。

これからもよろしくお願いします。

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