赤眼のレリク 第5話
~翌日~
~ガーネット鉱山・ダンジョン前~
隊長というのも楽ではない。人材の配置、それぞれの把握、分隊長の指示、それに対しての連絡手段。考え出すときりがない。今回は31人でダンジョンに入ることになりそうだ。班は6班。1班・五人でそれぞれに分隊長がいることになる。俺は班に入っていない。俺が本気でやってしまうと周りに被害が出るからだ。俺自身初めて皆と入るのだから、全く分からないのだがテディーの決定には逆らえないし、それに俺は緊急連絡係となった。一応、今回は特別に騎士が待機しているらしい。ギルドからの要請もあったのだろうが…。国としてもギルドとはいい関係を保っていたいのは戦争のことがあるからだ。そしてモンスターの討伐。俺は不測の事態に備えて騎士への連絡ということになった。それにいつも1人で入っている俺なら生き残る可能性が高いだろうということも上げられる。俺はテディーが苦戦しながらも、みなをまとめようとしているのを黙ってみていた。俺だったら、指示するやつ、片っ端から倒しまくるけどな。そのほうがこのようなタイプのやつらには示しがつきやすいからな。
「集合したな。今回は俺が言ったように6つの班に分けることになった。レリクは俺が言ったように緊急連絡係だ。他の人はこれから班を分けるからこっちに来てくれ。」
予想に反してずいぶんと名のあるやつが揃っている。「片腕」のロス、「氷の女神」のラリア、「電撃」のルイ。他にも見たことあるやつが何人もいる。これだけ集めるのも大変だがそれ以上にテディーの人望があったからだろう。彼はいろんな人と任務をこなしていくだけあって信頼は厚い。班を分けるのも俺を緊急連絡係にした時も大した反対などもなかった。冒険者は例外なく荒くれ者が多い。もちろん略奪や窃盗など犯罪じみたことをするわけではない。自己中心的な人が多いだけだ。その最たるものが俺だ。ギルドの言うことはきかない、チームは組まない。はっきり言えば俺は異端児的な扱いを受けている。今ではいいほうに扱われているが。昔はかなり無茶な任務を何度もさせられたものだ。特にダンジョン関係を中心やらされた。この腕のマラリスもそのときに手に入れたものだったりする。
「よし。全員班に分かれたみたいだな。今回の任務はあくまで調査だ。先遣隊「騎士200人」が死亡していると考えられている。少しでも異常なことがあった場合は必ず引き返し、少なくとも二つの班で対処すること、もしくはここにいる「炎帝」のレリクに連絡すること。班長は常に連絡を絶やさないように。できれば宝石などはとらないでもらいたい。荷が重いと万が一のことがあった時に対処できないことがあるかもしれない。注意事項は以上だ。何か質問は?」
「すまないが少し聞きたい。」
「なんだ。レリク?」
「先遣隊は本当に全滅しているのか?」
「すまないが、分かっていないんだ。先遣隊が出発してもう1週間になる。あのダンジョンに1週間もかかるとは考えにくい。推測にしか過ぎないが、全員がなくなっていると考えるのが普通だろう。だから今回はあえて言わなかった。先遣隊のほうからも連絡は来ていないそうだ。可能性は低いといわざるを得ないだろう。」
「生きていたらどうする?」
「生きていたら連絡してくれ。そして一旦ダンジョンを出てギルドに報告する。他に質問は?」
手を上げる者はいなかった。
「じゃあ、今から入る。皆、注意しろ。」
俺たちはダンジョンに入っていった。