リオ・リチャード第23話
ザッザッ
ここの町には珍しく、軍隊が統率されて行進している。
「もう少し、猶予がほしかった。」
レオンが愚痴る。
「そうだな。しかし、今回はしょうがないだろう。レオン殿。」
ルヴェルも同調した。
「そうよ。少しは肯定的に捉えられないの?」
しかし、時代は変わった。
この行軍を見て、それを見た人は必ず膝つき頭を下げる。
この儀礼は街に住んでいる人間がリオをその町の統治者として認めたことになる。
「それはリオやティルの功績が大きい。」
「そうね。」
ルヴェルやレオンは結局、貴族の出なのだから彼らにはこの街の住人はよい顔をしないだろう。
「ここを拠点に城を構えるつもりなのか?リオ王は?」
レオンとルヴェルは同時に首を振った。
「ここにいる住人はある程度疎外されたものが住む町として確立しています。今、城などを作ってしまっては反感を買うのは間違いないだろう。」
リオやティルのように…。
「しかし、王が育った街がこんな状態ではよくない噂が広まるだろう。」
ルヴェルは言った。
「そこら辺は考えているわ。しかし、簡単にいくような問題ではないしね。これは時間をかけて取り組むのが大事でしょう。」
レオンもそれには賛成している。
「それは今回の戦に勝つことが重要でしょう。実績がなくては民はついてこない。」
彼らは歩を進めた。