リオ・リチャード第13話
「遅いな。」
レオンが少し困った顔で言った。
旧リオ家は会議の場として急遽、改築した。
今ではしっかりと暖房器具まで準備されている。
ルヴェルが暖炉に薪をくべながら言った。
「リオはいつもいろんなことに巻き込まれるでしょ。」
ティルが剣を磨きながら答えた。
「うん。間違いなく、不都合なことが起きているね。」
シーリーが思案顔で言った。
「たとえ、そうだとしても国王軍はこっちに迫ってきているし、気になる情報も入ってきた。」
レオンが体を乗り出して言った。
「それはどういう情報ですか?」
レオンは家を離れて以来、ここにいることが多くなって外部の情報には詳しくない。
むしろ、この近辺の情報には気を配っている。
「ちょっと、顔が近いよ!」
「いや…すみません。」
よほど動揺していたのか、顔が近いのにも気がつかなかったらしい。
「シーリー、少し声が上ずってるわよ。」
「うるさいよ。ミランダ。」
この2人は蟠りが少し溶けたようにも思える。
ある程度、昔の事件について調べたのかもしれないが…。
パン
ルヴェルが手を叩いた。
「シーリーさん、その情報を聞かせてください。もしかしたら、取り返しがつかなくなるかもしれません。」
「実はね、最近、テミール将軍の様子がおかしいとね。」
ルヴェルが口をはさんだ。
「あの将軍が?」
テミール将軍はどちらかと言えば、アウス王の考えに近く、武力支配は最小限に抑え民衆の治世を考える。
「治安が少し悪くなっているのもそのせいかと思ってね。あと、テミール将軍がいつも行っていた定期手的な見回りが、ここ2カ月も行われていないらしい。」
「それはおかしいわね。」
ミランダが答えた。
「私が住んでいた時には2週間に一回行われた時もあった。」
レオンが答えた。
「何か病に冒されているとかは?」
「それはまずないね。彼は体が頑丈で有名だったし、熱が時でさえ、召集に応じアウス王の危機を救った。その時でも倒れなかったらしいし…。」
薪が割れる音がこだましている。
「あまりいい状況ではないようだな。」
レオンが椅子から腰を上げた。
「部隊を召集しよう。留守部隊はルヴェルとミランダさんにお願いする。」
「「はい。」」
「シーリーさんはギルドにそれとなく探りを入れてほしい。ティルは俺とともに街へ向かう。」
「うん。」
「少し性急すぎるような気もするけど、それが上作だろうね。まあ、しかし、今から来る人によってきまるかもしれないよ。」
レオンもそれに反応したようにドアを見た。
いつも短くても申し訳ありません。
これからもよろしくお願いします。