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リオ・リチャード第10話
彼は両手を鎖で壁につながれていた。
「ここでは犯罪人ということになるかと思います。」
よく見ると彼は体のあらゆるところに傷がある。
当然ながら、上半身は裸だ。
「そうだろうが、私が聞いていることはそうではない。君はどうやら、私と同じような感じの気がする。」
「同じということは?」
「政治犯ということだ。俺もこの戦争に反対しえてね。まあ、君は関係もないだろう。」
彼は少し顔をしかめた。
傷ついた体が痛むのだろう。
「しかし、君はよくこんなところにきたものだ。」
「話はそこまでにしたまえ。」
僕らが振り返ると格子の外に男がいた。
「二人ともよく暴れたものだ。おかげで2000の兵士のうち1400は使い物にならなくなったよ。大した損害ではないが、留守部隊としては少し物足りない兵力だな。」
ということは…
「私がテミールだよ。」
立っている男が言った。
「それは嘘ですね。」