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リオ・リチャード第9話
ズ、ズ
僕は引きずられるように廊下を歩かされていた。
「さっさと歩け。こっちも暇ではない。」
「この状態を見て歩けると思ってる?」
「…、お前が降参してくれないからだ。」
おそらく足は折れている。
額には大きく開いてしまった傷があったが、それはすでに修復しかかっている。
「まあ、お前はよくやったと思うよ。俺たち精鋭を500人を倒したのだからな。それも誰一人として殺すことなく…。もし、お前がその気なら殺せたろうに…。」
僕がここでやることは紛争ではない。
しかし、ここは異臭が充満している。
汚物などは適切に処理されているのだろうか?
貧民街ではこういった処理は自分たちで好き勝手にしまったために、感染症が蔓延してしまった。
医療なんてものはないために死亡率は高い。
「お前は貧民街で生活しているから、この匂いには慣れているかもしれないが常人慣れていないのでね。」
そう言って、看守は鼻を塞いだ。
「ここだ。」
案内された場所は普通の監獄よりも少し広いようだ。
しかし、そこには先客がいた。
「さて、君はどなたかな?」