リオ・リチャード第8話
前の投稿は短くてすみません。
「どうした?」
「いえ、なんでもありません。ただ、今回の父のことに関しましては…。」
「よい。知っているとも。ただ、噂だがな。」
やはりおかしい。
テミール将軍はあの時の謁見には来ていないはず。
父は一応、前の国の伝統を受け継ぐとして、百人隊長以上の役職の人間が謁見に参加することができた。あの時、テミール将軍はまだ、一平卒だった。
父は僕のことに関しては家臣に口止めをしていた。もちろん罰則は表向きのものではないが、「死罪」ということになっている。
それが本当だとするとこのテミール将軍はすでに何らかの形で知った、もしくは本物が別のところに監禁されているのかもしれない。
「それなら話が早いですね。元服の儀はやっておりますし、後継者としては僕が第一人者ということになります。」
「ふむ、しかし、それはあくまで裏の話のはず。君は厳密には存在していなかったということではないのかな?我々も噂でしか耳にしたことがないとすれば、アウス王も知らぬ存ぜぬで通すだろう。」
「それは大いにありうる話ですが、直系の弟はまだ、王としては早すぎるように感じます。」
「そうかな?今のテムス王は11歳で王になったと聞く。確かに弟君は8歳で若いかもしれぬがあながちおかしな話でもあるまい。」
「そうですか。残念ですが、話はここまでのようですね。どうやら、僕は罠にはまってしまったようだ。」
ガチャガチャ…
やかましいぐらいの鎧がこすれる音が聞こえる。
「レリク、君は術が使えないと聞いていたが、そうでもないらしいな。」
「あなたには永久に使えないものだよ。」
バン
「レリク君。済まないが、穏便にことを運びたい。できれば、捕まってくれないものだろうか?」
扉の向こうにはおびただしい数の兵が待ち構えていた。
千人はいるだろう。
だが、僕の予想が正しければここで戦っても殺されはしないはずだ。
バリン
テミール将軍の横のガラスから1本の剣が飛んできた。
パシッ
僕はそれを掴み、
「暴力には暴力で対抗します。僕も一応、あの人の息子なのでね。」
「フン。まあ、よい。どちらにしても捕まえる予定だったのだ。それが多少早かったにすぎない。全員、かかれ、ただし殺すなよ。」
その掛け声とともに兵が一斉に動き始める。
僕は剣を握りしめ、その兵へ向かって行った。
今回も少し短くて申し訳ありません。
時間の都合上、書く時間が限られてしまいました。
少しずつ更新していくので、
これからもよろしくお願いします。