リオ・リチャード第6話
「さて、此処からどうするかな?」
レオンが少し呆れたように言った。
「ここまで来て策がないということはないだろうな。」
「あるにはあるけど、正直確証はない。」
この作戦を言ったら皆反対するのが目に見えてわかるので、言うつもりは全くない。
「それは置いておくとしてもここは重要な拠点よ。」
ルヴェルは少し語気を強めた。
彼女の言いたいことはよくわかる。
このカポネという町は貧民街からおおよそ20キロの地点にある商業町だ。
ここを”正規軍”が固めてしまっては貧民街を守ることができない。
幸い貧民街は東と北は山に囲まれ、南は海に覆われている。この国は水軍力がかなり低いため南から攻めこられることはまずない。
そのため、このカポネが重要になることは間違いない。
「それにしても、どうしてこんなにも軍の行軍が遅いのかな?」
ティルが少し抜けた声で尋ねる。
それは議論で話し合ったが、これといってよい情報が得られたわけではない。しかし、悪い噂はない。それが救いだ。
「しかし、考えられることは二つ。軍の編成もしくは士気があがっていうことが一つ。もう一方は…」
僕のほうを見て
「アウスの死期が近いというのが考えられる。」
僕は眼を瞑った。
あの強さを誇った父が簡単に死ぬとは考えられないが、病気となれば話は変わる。
「それよりもまずはここを落とすことが重要ね。」
そういって、ルヴェルは下に広がる町を見つめた。