リオ・リチャード第4話
「あの坊ちゃんも寝て過ごしていたわけではないようね。もちろん、あんたもね。リオ。」
「二人とも悪いことはしていないわよ。あなたと違ってね。シーリー。」
シーリーの表情が険しくなる。
「あんた喧嘩売ってんの?あんたなら、私の力を知ってるはず。」
彼女の体が徐々に発光していく。
「“今”の私の実力をあなたは知らない。あのときみたいに無様な負け方はしないわよ。」
ミランダが傍らにあるダガーを引き抜いた。
少しばかりルヴェルが焦ったように言う。
「リオ、早く止めないと…」
彼は彼女の言葉よりも先に動いていた。
その動作には全く無駄がなく普通のレベルの人たちには見えない動きだ。
彼は二人の肩に手を置いた。
シーリーの発光していた体が徐々に光を失っていく。
「!!」
二人が振り向いたときには彼はもういない。
リオは首筋に背丈ほどもある剣を彼女らに当てていた。
「ここでの戦闘を止めるように僕は言ったはずだ。もし、それを破るようなことがあればどういう事態になるか、考えてみたか?」
彼はあくまでも冷静にまた、淡々と語った。
その声は今までに聞いた中でも最も低い声だった。
「リオ、やめろ。」
レオンが戸口に立っていた。
「今、癇癪を起すのは得策ではないはずだ。それは俺たちにとってもだが、あなたたちにとってもだ。」
「できれば、僕もそれで賛成だよ。」
ティルがそれに賛同した。
「まあ、いいよ。」
そういったシーリーは手をリオに向けた。