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デビル・ジュエリー  作者: かかと
リオ・リチャード篇~第Ⅰ章~
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リオ・リチャード第2話

「本当に行くのか。」

「そこまでのことではないだろう。レオン。それにすぐ近くだ。」

「それはそうだが、お前が弟子になろうとするとは…。」

「自分にあった剣を作りたいだけさ。今の剣じゃとてもじゃないけど僕の筋力には合わない。」

「それなら、うちから取引先から仕入れることもできたのに…。」

「それでは意味がないと思うんだ。これからは何かを変えなくてはならない時期に入ってきている。レオン、ルヴェル、それから、ティルも個性を伸ばしていこう。この2年が勝負なんだ。」


そういったリオはどこか寂しげでもあった。


「じゃあ、行ってくる。まあ、手伝いにはちょくちょく帰るよ。」


彼はどこに向かっているのだろうか。レオンは少し心配になった。彼は学校をやめてしまったが、勉学では並べるような奴はいなかったようだ。そこは心配要らないが、さて…。


「行っちゃった。」


ルヴェルが呟いた。


「そうだね。」


ティル、お前が一番寂しいだろうに。


「でも、」

「なんだ?」

「リオ様は楽しそうに見えた。」

「「え」」

「きっとリオ様ならこの世界を変えてくれるよ。」


そのティルの言葉はなぜか心に響いた。




ギィ


古びたドアを開ける。

そこからはドアからは想像もできないような空気が鼻についた。


ここはつぶれてなんかいない。

むしろ、ずっと作り続けているのだろう。


「こんにちは。」

「お前は?」

「リオと申します。」


剣を作っている彼は僕のほうに顔を向けた。

聞いた話ではもう60は超えているだろう。


「ここに来たのはレリク以来だな。」

「レリクというとあの“赤眼のレリク”のことですか?」

「そんな名前があったとは知らなかったな。しかし、その様子じゃあいつは死んだのか?死ぬような軟な奴じゃないはずだが。」

「僕が聞いた話では行方不明ということになっているようですよ。ギルドも彼が死んだということは認めたくはないでしょうから。」

「ギルドのことなんか知らんな。さて、リオとかいったな。お前がここに来た理由を聞かせてもらおう。」


僕は彼の眼を見ていった。


「僕専用の剣を作っていただきたい。」


そういうと彼は近くあった剣を投げてきた。

僕はそれを難なく掴んだが、目の前には火が迫ってきた。


ブン


僕はそれを縦に切った。

小さな炎だが、高温だったらしく剣は少し溶けている。


「なるほど。お前は希少種か。」

「?」

「その様子じゃ、あまり自分の能力について詳しい感じではないな。」

「何の話だか?」

「いいだろう。しかし、この作業にはお前の能力を付随させる必要がある。」

「分かっています。」

「ある程度の部分は俺が担当するが、週2日はここに通ってもらう。」

「はい。」

「こっちへ来い。手の大きさと筋力を測る。」


僕は彼のもとに行った。


「………か。」


僕はよく聞き取れなかった。


「はい?」

「別になんでもないさ。」


しかし、彼の顔は笑っていた。








「リオはどう考えていると思う?」


レオンがルヴェルに質問した。


「よくわからないけど、私にはこの国を変えるつもりだと思う。」

「俺たちはそもそもそのつもりで動いてきた。だからこそ、3人で一緒にというのが理想だったが、しかし、あいつは普通じゃない。」

「そうね。こっちで動くことができるとすれば、情報収集だけど…」


ルヴェルは少し顔を顰めた。


「そうか。お前も聞いていたか。」

「うん。本当なの。リオのお父さんが病気だっていうこと。」

「親父にはおいそれと聞くことは出来ないからな。おそらく、俺たちとは反対勢力になるだろうから。」

「そうね。確かに彼の弟は若いけど、能力がないわけではないだろうし。」

「それに養子になった2人がリオの仲間になってくれるとは到底思えない。特にあのロードスはかなりリオのことを恨んでいるように情報を得ている。」


ティルは家のことで手が回らないはずだ。

しかし、この状況だと上手く行ったとしても内乱が起きそうだな。


「リオが考えている道は遠く険しそうね。」

「そうだな。あいつは術も使えない上、無鉄砲だからな。考えがないわけではないだろうが。」

「それよりもこれからどうするかを考えないと。」

「俺の考えではここを拠点とするしかないと思う。リオはここの住民を良く知っているし、また素行が悪い割りには人気がある。」

「そうね。リオは良く頑張っている。それにこの町をなんとか良くしようとしている。悪いところにも眼を向けて。」


俺たちがやることは。


「同志を増やすしかないな。」

「しかし、どうする?正直言って、血統上は彼の弟のカリアスが優勢よ。」

「ふ~む。俺たちがリオの学校に行ったところでやっかみを受けるだけだろうしな。」

「ちょっと待って。僕を忘れてない?」

「ティル、しかし。」

「僕はリオ様に助けてもらってばかり。何か手伝いをしたい。」


他に手はないものか…。

いや、ひとつだけあるな。


「一つだけ方法がある。莫大な金がかかるが…。」

「傭兵ね。」


問題なのは彼らが命を粗末しないということ。これは良く聞こえるかもしれないが、もし、戦争が起きて自分達の陣営の旗色が悪い場合、逃走、もしくは裏切りに遇うかもしれない。


「それなら、問題ないよ。」

「何いってんの?」

「待て、ルヴェル。ティル、それはどういうことだ。」





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