赤眼のレリク 第108話
~断末の谷 謎のドアの前~
「これはどうやってあけるのです?ドアノブがついていない…。」
ロスは開けようとしたが、押しても開かない。
「引き戸になっているのもないわね。それにしても、アクアの痙攣は止まっていない。早くしないと。」
「ロス、アクアを頼む。」
俺はドアを触れた。
そのとき文字が浮かび上がってきた。
『一族の証を見せろ』
「一族?」
「赤眼、何か隠しているわね。」
俺はドアの前に立っていた。
すると、小さな画面が浮かび上がってきた。
「あれはギルドの登録に使ったものでないですか?アクア?」
ロスが言葉を発した。
「確かに…。でも、あれは古代の人が残したといわれるもの…。なぜここに?」
俺は眼を晒した。
赤い光線が俺の目を照らす。
『認証完了』
「どうやら、親父が言っていたことは本当だった。」
「どういうことです?」
「説明して!赤眼!」
「それは必要ないわ。」
アクアが後ろに立っていた。
「アクア、もう大丈夫か?」
「ごめんね。レリク。私がここに来てしまったばっかりに…。」
彼女の眼には涙が浮かんでいた。
それにお前も…。
「何、その眼…?」
「眼に十字が…?」
俺も始めてみた…。他人にはこのように見えているのか。
しかし、普通の十時には見えない。
真ん中に小さな円が描かれている…。
「中で話そう。これは俺たちの一族の話だ。お前らは来るべきではなかったのかもしれない。」
俺はロスとラリアにそう話しかけた。
そのとき、ドアが開いた。
~初代の間~
「ここは?」
「なにこれ…。」
これらが“パソコン”か…。これで管理していたのだな。
「ようやく来たな。アクア。待っていた。」
「アクア?なぜ、二人もいるの?」
そこには“ダーク・デビル”を手にしたアクアが立っていた。この広場…。あそこのつくりと一緒だな。あのウルゲイにあったやつと…。あの台座に…。
「後ろにはアクアがいます。どうやら我々は“彼女たち”に導かれたのですね…。」
「フン…。そういう解釈もできなくはないな。」
そういって、もう一人のアクアは微笑を浮かべた。
「赤眼…。」
ラリアは心配そうに俺を見つめた。そうか…。こいつの術エネルギーを感じてしまったか…。
しかし、俺は答えた。
「ここまで、導いたのはこいつではない。俺がここまで導いたのだ。お前たちを…。」
ロスは驚いたように俺を見ている。
「裏切ったのですか?」
彼は剣を握っていた。
「裏切ってはいない。俺はお前たちを騙しただけだ。」
ラリアは俺に反論した。
「それは裏切ったということよ?それもわからないの?」
彼女もまた剣を握っている。
しかし、後ろから声が聞こえた。
「やめなさい。今は仲間割れをすべきときではない。」
俺たちはアクアを見た。
しかし、彼女は俺たちを見ていなかった。
見ていたのはもう一人のアクアだった。
「なるほど…。ガキ共、お前たちが俺を倒せるとでも思っているのか?」
彼女は俺たちを玉座から見下ろしていた。
「今から988年前に人類は一度、滅びそうになった。」
俺は話した…。
「その話は冥界でするがよい。レリク。お前にはがっかりだ。俺の器にはぴったりだった。しかし、貴様にはもう用はない。あるのはアクア、お前だけだ。」
そういうと彼女の姿が消えた。
キィィィィン
甲高い音が響く。
俺の後ろにはアクアが立っていた。
「油断しないで。レリク。」