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デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇
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赤眼のレリク 第107話

~断末の谷 第4戦~


「どうしたんです?レリクさん。そんなに急いで。明らかにペースが速いですよ。」

「わかっている。しかし、時間がない。そのときが迫ってきているようだ。」


俺はアクアのほうを見た。


「彼女に浮き出ているマークが何か関係があるの?」


アクアは今、休んでいる。目を閉じて、呼吸も荒い。どうやら、そのときが迫ってきているようだ。あの“初代”のことだ。おそらく俺に力を貸すつもりに違いない。ならば、このマークの意味がわからない。しかし、どうやって彼は俺に力を貸すつもりなんだ?


「話をしてもらえますか?」


「生態探査」


俺はこっちに向かっている生命体を発見した。

“H”のところまでもう少しだ。彼女のエネルギーも感じられた。


「今すぐ、アクアを起こせ。敵が来る。それに、“H”のところまで後、30キロもない。」


二人は驚いた。


「そうですか…。だから、彼もフィールドの影響させることのできる技を使うことができたのですね。」


俺は頷いた。


「起きなさい。アクア。」

「ハアッハアッ、何?」


呼吸が荒い。


「しっかりして、敵がこっちに向かっている。」


ラリアが必死に説明する。


「もうきたようだ。」



俺たちに立ちはだかったのはドラゴンだった。




「ここまで来て、ドラゴンとは…。」

「でも、勝機はある。俺が戦ったドラゴンよりも強いが、しかし、同じ種らしい。」


俺はドラゴンを見た。

あのドラゴンとはまるで迫力が違う。ゴーレムの倍はある。俺が戦ったドラゴンはゴーレムと同じぐらいだったはずだ。


「レリクさん。フェニックスでやってつけてください。同じ系統なら火でフェニックスのほうが強いはずです。」


ロスは俺のほうを見ていった。


「すまないが、今、使役することはできない。」

「えっ?」


ラリアが驚いたようにこっちを見ている。どうやら彼女もそれを期待していたらしい。


「くるぞ。」



ギオオオオオオオオオオオオオ



ドラゴンは咆哮をあげた。



「くそっ、鼓膜が破れます。」

「ロス、前を見ろ。」



ドラゴンは口の中にエネルギーをためている。


「アクア、お願い動いて…。」


くそ、あれでは戦力にはならない。むしろ、死ぬかもしれない。

俺はラリアに命令した。


「ラリア、アクアをつれて避けていろ。ここは俺とロスでやる。」

「えっ?」


ロスが驚いた表情でこっちを見てくる。おそらく、予想していなかったらしい。


「ちょっ?レリクさん。」

「あの状況を見ろ。無理だ。」


ロスはアクアを見た。状況がようやくわかってきたらしい。ドラゴンに目を奪われたか…。


「跳べ、ロス。」


俺たちは避けた。




ズゴゴゴゴゴゴ



炎の塊が俺たちの横を通っていく。

どうやらこいつも火で決まりだ。


俺は槍でドラゴンに切りかかった。


ギィィィィン


硬いな。これは…。


「レリクさん、後ろ!」


俺の後ろにはドラゴンの尾が迫っていた。


「炎帝」


俺は身体能力を極限まで高め、その攻撃をかわした。


俺はロスの隣に行った。


「どうします?」


ロスはドラゴンを見上げながら言った。


「弱点ならある。」

「何です?」

「目だ。」

「目?」

「ああ、ドラゴンは鱗が硬いかもしれないが、目はやわらかくできている。それに、目は脳に直結しているから、雷が有効的だ。しかし…。」

「なるほど…。動きが早すぎますか…。」

「そうだ。お前もテディーから手ほどきを受けたらしいが、その技も長くは持たないだろう?」

「ええ、そうですね。というよりよくわかりましたね。」

「まあ、わかるさ。何回も見ていればな…。」


ギオオオオオオオオオ


こっちに気がついたようだな。


「とりあえず、目を狙う作戦で行きましょう。」

「くれぐれも二人を巻き込むなよ。」


俺は彼に注意を促した。


「わかっています。」


俺たちは攻撃を開始した。




ギオオオオオオオオオオ



「ロス、くるぞ。横にそれろ。」


くそっ。あれから10分はたっている。モンスターとの戦いで10分かかることなんてめったにない。それに全力だし…。



ガゴゴゴゴ



その衝撃で隣の壁が崩れてくる。



ガゴッゴッ



ズゥゥゥゥゥン



岩が落ちてきた。


「ロス、大丈夫か?」


俺はドラゴンがこっちを向くのをわかっていて叫んだ。



「大丈夫です。でも、もう持たないです。」



それは当然だ。テディーは3分持ったらいいところだった。かなり無理をしているに違いない。それに…。



シュウウウウウウ



俺の右腕を見た。



この技にも限界がある。そろそろ決めなくてはいけない。



「ロス、俺が引き付ける。お前は目を狙って、ありったけの雷をぶつけろ。」



ギオオオオオオオオオ



またくるか…。このドラゴンは底がないな。術エネルギーはこっちが尽きるのが先になる。



「レリクさん。避けてください。」



ロスは2キロほど先で叫んでいる。



「そこまで待っていろ。俺がそっちに飛ばしてやる。」



ドラゴンがこっちを向いた。

目は語っているようだ。


舐めるなと。


スゴゴゴゴ


俺の前に火の光線が迫る。


「レリクさん」



「結界術、炎反射鏡」



これは正直、使いたくなかった。



俺の前に巨大な炎の鏡が出来上がる。

それがドラゴンの炎の光線を跳ね返す。



キュピイイイン



光線が跳ね返った。

それと同時に俺の力が抜けて行った。

跳ね返す術に応じて、術エネルギーを消費する。これがこの術の最大の弱点だ。



グオオオオオオオオオオ


ドオオオオオオ



ドラゴンの巨体が光線に負け、跳んでいく。



「ここだ。」



ロスが術を放った。



空気が変わる。静電気が周囲に起こっているようだ。



「雷光」



ドラゴンが最後の咆哮をあげた。



ギオオオオオオオ



ズゥゥゥゥゥン



俺たちはドラゴンを避けて、引いた。


「やりましたね。」

「なんとかな…。でも、すっからかんだ。動けそうにない。」

「二人は無事ですかね?」


そういえば、あいつらはどこに避難した?


「無事よ!」


そういってラリアとアクアは俺たちの地面の下から出てきた。


「はじめは上に非難しようと思っていたけど、この戦いを見てたら、上のほうが返って危ないようだったから。」

「面目ない。」


俺たちは頭を垂れた。


「でも、それよりもアクアの様子がおかしいの。ずっと痙攣している…。心臓のほうにも問題ない…。」


もう少しだ…。


「心配ない。」


俺は断言した。あいつが何かしら影響しているに違いない。


「しかし、レリクさん。」

「前を見てみろ。」



そこには大きなドアがあった。


「あれは?」

「誰が?」


俺たちは確かに見たこともないものだった。いったいどこの誰か作ったのかもわからない。しかし、俺は親父から聞いている。


「誰が作ったのかは問題じゃない。問題なのは誰がそれを何の目的で作ったのかが問題だ。アクアは俺が運んでいく。とりあえず、あのドアの先に“H”が待っているはずだ。」


俺たちは走った。


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