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デビル・ジュエリー  作者: かかと
赤眼のレリク篇
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赤眼のレリク 第103話

~断末の谷 2戦目~


「さて、いきましょうか?」


ロスがそういって腰を上げた。


「そうだな。アクア、大丈夫か?」


彼女は少し疲れを見せながらも頷いた。


「うん。でも、何か体がおかしいの。なんていうのだろう?何かが私を引き寄せているような感じ…。」


「「?」」

「!」


ロスとラリアは首を傾げた。


もし、“初代”の言うことが正しいなら…。彼女は…。


「そうか…。大丈夫か?」


「うん。でも、連戦戦うのはしんどいかも…。」


ラリアはアクアを見た。


「この状態で戦うのは難しいわよ。アクアの体力は回復しきっていない…。」

「いや、ここは行くべきだ。」


俺は彼らを促した。


間違いない。この計画は成功するはずだ。

俺は目の前を歩いている3人を見た。

巻き込んですまない…。




俺は彼らについて歩いていった…。




「どうやら、あれが今回の敵だな…。」

「いや、あんなものが動くとはとても、ただ単なるゴーレムではないのですか?」

「そんなに簡単にはいかないよね。さすがに。」

「でも、10体もいるわよ。しかし、あの体…。」


俺たちはゴーレムを見上げた。普通のゴーレムはせいぜい人ぐらいの背丈しかない。しかし、このゴーレムはその10倍はある。


俺たちは歩き出した。しかし、それにあわせてゴーレム達は動き出した。


「今回は弱点ぐらいわかりますよ。」


そういって、ロスは走り出した。


「馬鹿待て!」


あの馬鹿は…。ここは普通のダンジョンと違うぞ。それを間違うなよ。


「追うぞ。あいつ一人だけを走らせたら大変なことになる。」


二人は頷いて、俺とともにロスを追った。


「水流」


彼はゴーレムの足を狙って術を放った。ゴーレムは石ではなく、砂でできている。だから、水は彼らの動きを止めるには有効的だ。しかし、このゴーレムは…。


「避けた?」


ロスはあっけにとられている。本来、ゴーレムはタフなモンスターとして知られている。しかし、その反面、動きは鈍く倒しやすいモンスターだ。


「ロス、避けろ。」


別のゴーレムが彼の上へと迫っていた。


くそ、間に合え!


「炎激波」


この技は火と雷の系統をあわせた術だ。衝撃波のように相手を吹き飛ばすことができる。しかし、この技は前方にしか攻撃できなく範囲も自分の視界に捉えられる範囲にしか作用しない。


「ぐわっ!」


ロスが衝撃に耐え切れずに前へ飛んでいった。だが、ゴーレムの体が大きすぎる。


「砂吸収」


ラリアが術を放った。ゴーレムの足が砂へと変わっていく…。


「すごい…。」


アクアは驚いていた。


「砂だったら、ここは私が出るべきところね。」


しかし、彼女の周りにもゴーレムは集まっていた。それはそうだ。一番厄介な相手をつぶすのは普通の話だ。


ゴーレムがラリアに気を取れているうちにロスが体勢を戻して、俺たちの隣に来た。


「すみません。早とちりました。」

「わかっている。」


残りは後、8体。俺とロスは正直、土には弱い。


「アクア、ラリアを援護しろ。俺たちがゴーレムを誘き寄せる。その間に1対ずつ確実に撃破しろ。行くぞ。ロス。」

「はい。」


俺たち二人はゴーレムに向けて走り出した。



「くそ、打撃はまったく効果なしか…。」

「かといって雷も火も通じません。」


しかし、俺たちの攻撃は気に触るらしく、俺たちに向かって攻撃を仕掛けてくる。


ドスウウウウン


ゴーレムの攻撃の音がこだまする。


俺たちに向かっているゴーレムは4体。しかし、ラリアとアクアのほうには3体が向かっている。


「あれじゃ、術は放つことはできない。」


俺はゴーレムの攻撃をかわしながら、ロスに話しかけた。しかし、彼の額には汗が見え始めている。


「ハアッハアッ、そうは言っても動きが早すぎます。」


ロスはすれすれのところでゴーレムの攻撃をかわした。


「仕方ない。少し範囲が広くなるが、風を使う。」

「!待ってください。僕は退避します。」


どうやら、俺の風の威力を知っているらしい。


「竜巻」


俺は体に力をこめた。


ギュオオオオオオオ


巨大な砂埃が辺りを覆う。


「ラリア、聞こえるか。」

「うん。」


大きな声で返事をした。


「いまだ、さっさとやってしまえ。」


俺の術エネルギーももうすぐ尽きる。


「砂丘」


突如として彼女の前に砂の丘が現れた。


「使役しているのなら、それを壊してしまうのが一番楽。」


そういって彼女は座った。どうやら、このゴーレムはあらかじめ使役されていたものらしい。


ロスが俺の隣に来て言った。


「もし、そうだとしたら“H”はここにいる可能性が高いですね。」

「ああ。そうだな。」


こんなモンスターを使役できるのは彼女以外にいないだろう。


「しかし、どうしてこんなに遠回りなことをするの?これだけの力があったら、私たちを倒すのには十分な力があるはず…。」


ラリアはそういった。


俺は黙っていた。


「どうやら、レリクはその理由を知っているようね…。」


アクアはそうつぶやく。まあ、俺も予想でしかない。それに、今話すべきことでもないだろう。


「それよりも、体を休めることだ。次の相手はもっと手強いかもしれない。」

「それもそうね。」


ラリアはすぐに賛成した。それはそうだろう。本当の砂丘を作るぐらいの規模だ。相当な術エネルギーを消費したに違いない。


俺たちはその場に座り込んだ。



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